たった４組の邦楽ロック

summer [ドロス･川上洋平] ページ25

*Your Side*




「今、目、合った？」

「何？さっきのやつまだそういう風にとらえてんの？妄想もほどほどにしといた方がいいよ、姉ちゃん」









遡ること、何時間か前。









テレビの撮影だかなんかで、私たちの側まで来て話しかけてくれたドロス。もとい、洋平さん。




あまりにも突然の出来事であわてふためいている私を目の前に、洋平さんはとんでもない発言をしてその場を去っていった。








『今日のライブ、一番前に来てね(笑)』









なぜ、洋平さんがこの発言をしたのかは知らない。



知らないけど、なんか私には少し。

本当に少しだけ、

特別な意味をもった言葉にきこえてしまった。









そっからというもの。




ドロスの出番までの間の私の意識は完全に洋平さんの方向に向かってしまった。


途中でKANA-BOONやキュウソネコカミに行ったけど、その都度、鮪君やセイヤさんの顔が洋平さんに見えてきて、とても申し訳なかったのを覚えている。






「いや、合った気がするんだけどなぁ……」

「んなわけないだろ？あ、始まるよ、次の曲」







嫉妬をしてんのかはしらないけど、さっきから文句を言い続けるいとこをよそに、MCは終わり、曲が始まった。









『1.2.3.4』









あ、Dracula laだ。





最初の洋平さんの数字の数え方、色っぽいよなぁまじ。









私もあんな色気欲しいわ←









はぁ、と色気のないため息をつきながら歌っている洋平さんの顔を見つめる。








…………………ん？見つめる？









いや









これは、見つめられている。









なにこれ。





すごい勢いで見つめられている。









訳がわからなくなり、なんかよくわかんないけど、チラリと磯部さんの方を見る。








あれ？なんかニヤついてる。









ちょっと待て、なにかがおかしい！







私、なんかした?!




いや、してない!!!









『DraculaDracula君の心を噛んで』









どくんとなにかが動く。






それと同時に洋平さんの顔が和らいだ







…………ような気がした。









わかってる。



そんな考えをしたらダメなのは百も承知している。





でも、









そんなに見つめられたら、









普通、勘違いくらいしてしまいますよね。

summer [ドロス･川上洋平]→←summer [ドロス･川上洋平]

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す