風が鬼を愛するなんて【不死川実弥】

参拾陸 ページ8

『あ゛〜〜〜無一郎大丈夫かなー』

｢うるせェな、死んだらそれまでなんだよ｣

とても暇になった昼下がり。私と不死川殿は甘味処へ来ていた。

『不死川殿がおはぎを奢ってくれるなんて珍しいこともあるんですね〜』

美味しいから十分嬉しいんだけど。

｢借りを返しただけだ｣

『ほえ？』

不死川殿に貸しなんて作ったか？


『それより、無一郎大丈夫ですかね・・・』

｢テメェが信じずに誰が信じるんだよ｣

無一郎を霞の呼吸の育手の方に送って１週間。
屋敷がとても広く感じていて、人恋しくなっていた。

おはぎを奢ってくれる。というので遠慮なく4つ目に手を出した。

｢太るぞ｣

『酷ッ、不死川殿はそういうところがあるから女性に好かれないんですね』

と、緑茶を啜る

｢そりゃテメェ喧嘩売ってんのか？｣

すげぇ低音で呟いた不死川殿がめちゃくちゃ
怖い。

『勿体無い。優しいのに、強いのに、なんだかんだで面倒見いいのに』

私の頭蓋骨に伸ばされた手がピタッ、と止まった。

『普段から喧嘩腰だから、折角仲良くなりたいと思っても人が離れていくんですよ。特に女性』

だって、私１人じゃ無一郎の指導なんてやりきれなかったし。何だかんだで無一郎もなついてたし。

｢・・・・・じゃあ、なんでテメェはそんな俺に近付いてんだァ｣

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