. ページ2
暗転
意識が覚醒して、まず目に入ったのは見知らぬ天井だった。
…。……？意識が、なに？覚せ、…？
…なんで？
おれ、たしかに死んだ、はず。
なんだってんだほんと。ベッドに寝かされている上半身をゆっくり起こせば、あの時車に轢かれた痛みは、うそのように消え去っていた。
快調。
轢かれた後、血が流れていた場所は傷一つ見当たらない。
夢だった？否、そんなはず無い。
あのリアルな痛みと、流れた血の匂いと、暖かさ。
あれは間違うはずもなく、体感した。
と。
そこまで考えたところで、「あれぇ、起きたん？」なんてゆるりとした聞き覚えのない声が耳に届く。
「…えー………と？」
「ああ、起きよったらこんなトコに居ったねん、困るんは当然やな」
「わし、つぐめ言うねん、つぐぅ言うて呼んでぇや」
「ここはわしの店の2階やでぇ」
「どう？どっか怪我とかしとるん？」
黒髪。関西弁。
てことはまあ日本ではあるんだろう。
地獄でも、天国でもない。
でもここどこだ。
何わしの店の2階って。
弾幕のように話しすぎでしょ脳が追いつかないって。なんて？
てか誰こいつ。
「え？なに？なんて？待ってわかんないんだけど。」
飾る言葉なんて好きじゃ無い。
こう言う時は率直に。
わからんものはわからん、そう言えば「んは。せやろなぁ。」なんて楽しそうな声が返ってきた。
なんだこいつ。
「あー…？おれさぁ、変なこと言うと死んだような気がすんだけど」
「んー？うちの前で死んだように倒れとったこと？たしかに餓死寸前ぽかったけど、あんさんまだ死んでへんで！良かったなあ倒れたんがわしの店のの前で！」
え？おれ餓死なの？轢かれたんじゃないの？
いよいよ頭を疑うぞ…
「せや！あんさん、お腹すいとるやろ？」
「え？」
「あんなんで倒れとったもんなあ。なら今からなんか食うもん持ってきたるから！」
「えっ？」
「遠慮せんと食い！ちょお待っとってな」
さっきからあれよあれよと言う間に話が進んでいく。
お腹。そう言えばすいているかもしれないけれど、その前に混乱することが多すぎるんだよな。
まあ、いいか。どうにでもなれ。
そんな思いと共に、がちゃりと言う音と共に早足で部屋を出ていく彼の背中を見送った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「転生」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かすか(プロフ) - テノヒラさん» わぁい、更新おそおそですが頑張ります！ありがとうございます！！ (2021年1月17日 15時) (
レス) id: e270f04d93 (このIDを非表示/違反報告)
テノヒラ - 何だこの小説1ページ目だけでもおもしれぇ……！応援してます！ (2021年1月17日 12時) (レス) id: 0b1665532f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
