【風邪】センラ ページ14
｢ねえ？休んでって…言ったと思うんだけど｣
｢いや、はは、これくらいなら我慢できるし、
得意先の接待すっぽかすわけにいかんなぁ思て｣
そう笑ってベッドに横たわって苦笑する彼は、
今大人気の歌い手さん。
浦島坂田船の船、黄色担当、センラ。
私は彼の大学時代の同級生で…
卒業式の時から付き合ってる。
つまりもうすぐ4年。
彼の活動については全然知らなかったし、
むしろK−POPが大好きだった。
同じ講義を受けたり同じサークルだったりして仲良くなって…
いや、そんな馴れ初めはいいんだけど。
今日は金曜日の朝、
いつも通りモーニングコールしたら、
なんかいつもより元気ないし声も弱々しくて…
呼吸も少しだけ乱れてたから体調悪いの？体温は？って聞いたら、37.4℃らしく…
外は天気予報によると一日中土砂降りの雨。
無理して会社行って悪化させたら私は心配だし、
ファンの子達は悲しむと言って、
今日は休むって話をしたはずなんだけど…
私が仕事終わってから家によったら、
もうびっくりしたね。玄関で倒れてるなんて。
熱計ったら案の定38.6℃まで上がってた。
普段から休み少ないし歌い手もやって無理してんのに、体調崩さないわけがない。
｢やって…あの後輩とやで？心配で心配で…
それに今まで約束放したことないねん。
初めて自分でとった契約先やったし…｣
｢あぁもう、わかったから。｣
とりあえず今は、
家にある食材で作った卵粥を食べさせて、
薬飲ませた所。
｢ほら、寝ないと治らないから寝て？｣
｢…もう、帰るん？｣
｢いや、寝るまではいるけど｣
｢手、繋いでくれへん？｣
｢…いいよ｣
触れた肌はやっぱり熱くて、
明日は休みでよかった、なんて安心した。
｢…あのね、私、今の貴方に反対してる訳じゃなくて、むしろ応援してるんだけど…
無理しすぎるのは、もう勘弁してね。
今日一日集中出来なくて、上司に怒られちゃった。
…心配、するから。｣
なんて話しかけたけど、既に彼は夢の中。
こりゃ聞いてなかったかな…なんて思って、
でもしっかり繋がれた手の温もりが安心できて。
｢好きだよ…だから、ずっと傍に…｣
疲れと眠気でふわふわした頭で、
自分が何を言ったのかわからないまま、
私も夢の中に。
(…寝はった？)
(不意打ちは、あかんよ。)
(Aと、ずっと一緒に居たい。)
(Aがいてくれるから、頑張れるんよ。)
(いつもありがとう。)
(…おやすみ、A。大好きやで。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユズナ x他1人 | 作成日時：2015年4月5日 3時
