お隣のお兄さん。 〈諸伏景光〉

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夜景は勿論のこと食事もとても美味しかったレストラン。ゼロに感謝しなきゃだな。オレは運転するから飲めないけどAちゃんはお酒が入って少しほろ酔いモードのようだ。そういえば一緒にお酒飲んだこと、なかったなぁ。


prr…と嫌な音がする。こっちのケータイ、公安用の着信音じゃないか。彼女に断りを入れて電話に出ると応援が必要だから今すぐに来て欲しい、との事。一応食事は終えたしお店から出ることは出来るけれど1番楽しみにしていた錦座のイルミネーションが見れないじゃないか。


申し訳なさでいっぱいで彼女の元へと戻ると何かを察したような顔を彼女はしていた。



『お仕事の、電話ですよね。顔がちょっとだけ険しかったから』



「…よくわかったね、本当に申し訳ない、錦座のイルミネーションに連れて行ってあげられなくなってしまった」



『そうなんですね…』



彼女に悲しい顔なんかさせたくなかったさ、タイミングが悪すぎる。でも行かなければならない。どうしようもならないこの感情をどこにぶつければいいんだ。



「本当にごめんね…今度きちんと、埋め合わせするから…」



『大丈夫ですよ、行ってきてください。誰かを守るために動いている諸伏さんがいちばんかっこいいから。だから私のことは気にしないでくださいね、電車とかでも帰れますし』



彼女はオレよりも何枚も上手でしっかりしていた。

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