No.2 追われる身 ページ4
首都モスクワ、ドモジェドヴォ空港にて。
相澤は受験者である彼女の姿を探していた。
探すとはいっても、相手は何やら極秘裏に追われていると噂の再重要人物である。そう易々と見つかるような相手ではないはずだが……。
『
事前に相澤の姿形の特徴を知っていたのか、その正体と思われる銀髪の少女が小走りにこちらへと向かってきた。
華奢な姿をしているが、その風貌は至って年相応である。一体何があって追われる身となってしまったのか。
「おまえが噂の指名手配犯か」
『指名手配犯は言い過ぎ。私はただ壁を突き破っただけ』
少女は右斜め上に目線を逸らしながら答えた。
大方、他にも何かしでかしているのだろう。
となれば詳しい話は後でおいおい聞くとして、早いところ国外へと向かった方がいいか。
「本名で呼ぶと都合が悪いだろう、何か偽名とかあるか？」
『
「分かった櫻花だな……念の為聞いとくが、遠くからこっちに向かってきてる黒服の奴らはおまえの知り合いか？」
『ん……まったく知らない人』
周囲を見渡しても銀髪の少女なんて珍しい姿をした人物などいない。大した身バレ対策もしていないんじゃ、そりゃあすぐ見つかるのも納得がいく。
「はぁ、とりあえず逃げるか」
『？その必要はない』
面倒くさそうな表情でそう提案したところ、不思議そうな顔をしてAが相澤の手を引いて走り出した。
訳が分からないままAの後ろ姿を追っていると、空港の外へと出てしまった。
「おい何するつもりだ？」
『相澤はそこで見てて』
少々投げやりな言い方をされ、相澤は苦笑を浮かべる。
雄英に合格した際には基本的なマナーから教えることになりそうだ。
Aから目を離した一瞬の間で、ガッシャーン!!というけたたましい金属音と共に、突如として迷彩柄の航空機が出現した。
意味がわからない。
相澤が唖然としているのを横目に、Aは航空機に乗り込むと手を差し伸べてきた。
『乗って』
「……操縦できるのか」
『できる。早くしないとアイツらが来るよ』
「はぁ……おまえは一体何者なんだ」
『後でちゃんと説明する。今はとりあえず信じて』
校長もとんでもない人物に声をかけたものだ。
相澤はロシア国内に到着してたった数十分でとてつもない疲労を抱え、帰国したのだった。
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作者名：かみなり猫 | 作成日時：2024年3月19日 18時
