【ヒロアカ】未確認英雄少女【MHA】 (ページ1)

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No.00 うまれるまえはページ1

超常黎明期。

現在でこそ「個性」という言葉で一括りにされた超常的な能力は、その時代では「異能」と称されて酷い差別の対象となっていた。

個性は武器である。
そのような凶悪なものを持つ者は危険である。

そういった思想が、まだ世の中の大多数をしめていた無個性者の間で広まり、個性を所持する者と持たざる者の二者間で大きな亀裂を生み出し、世界各地で争いが長らく続いた。

そんな混沌とした世の中で生まれた子供たちの中には、軍事兵器や個性研究の実験材料として流用された者も少なくない。

そうして未だ、そのようなことを目的として子供たちが非人道的なやり方で連れ去られたり、売買されたり、という事例も存在する。

かくいうこの物語の主人公もそのひとりである。

少女は軍事施設に連れてこられた女性を母胎として、この世に生を受けた。母胎となった女性は、ある特種な個性をその身に宿していた。

それは「現実世界に存在するありとあらゆる武器を瞬時に移動・使用可能にする」という個性である。

この個性の何が恐ろしいのかといえば、本人が個性を発動させるだけで、どれだけ厳重に警備された中にある核爆弾だろうが強力な武器だろうが、望みのままに手に入れることができるのである。

そんな危険な個性をあろうことか個性婚によって更に複合し、ハイブリッドを生み出そうとしていた。

掛け合わされた個性は、類似性のある「物体を任意の爆弾へと変化させる」というものであった。

結果として実験は成功し、成長したその赤児は生きた人間兵器として戦場へと駆り出された。

まだ幼いその少女を軍兵たちは、死神だの、悪魔だの、まるでこの世のものでは無いバケモノを見るかの如く気味悪がった。

実際問題として、少女は個性だけでなく、幼少期から訓練された影響もあって、精神と肉体ともに成熟した男性の能力と比較しても遥かに凌駕していた。

ゆえに戦場において「無敵」の存在であった。

ひとたび戦いに出れば、単独で先陣を切って敵兵の中へと飛び込み、殲滅する。

そこに大層な愛国心なんてものは存在しない。
なぜなら少女は「戦いに勝利すること」だけを目的につくられた、ただそれだけのモノなのだから。

そんな少女がある日の明朝、突如として消息を絶った。
何重ものセキュリティが敷かれた軍事施設の壁を、お得意の個性で丁重に破壊して、何処かへと消えてしまったのだ。

そして、その真相は謎のまま時は流れようとしていた。