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「誰それ?」
『真希の従兄弟。歳は離れてるけど。』
「なんで、殺されたの?」
『…私、ずっと自分の家は普通の家族だと思ってた。昔から、お化け…だと思っていた呪霊が見える事以外、普通の、人間だと思ってた。』
「うん。」
『だから自分の名字も、なんとも、思ってなかった。でも、あの夜、大好きな両親が殺された夜、初めて、知らされた。……私が、赤崎家という御三家に次ぐ名家の跡取りだという事。』
「え、なにそれ。待って意味わかんない!」
『私の…母は、赤崎家の人間だった。つまり、元呪術師。けど、逃げた。逃げて、そこで出会ったのが私の父。』
「ほ、ほう。」
『その二人に生まれたのが私。赤崎家は、名家でありながら、赤崎家の相伝術式、【色創操術】を持つ赤子が200年、生まれなかった。だから、私が必要だった。』
「は?なにそれ。」
『さらに、この瞳を持つ子供も…430年、生まれなかった。』
「瞳?」
『そう。この瞳。』
私は、眼帯を外した。
「…すげえ。きれーだな。」
『……ありがとう。』
信ちゃんにさえ、見せた事がない、この瞳。
この呪われた瞳のせいで、パパとママは殺された。
そんなもの、要らなかった。
返して。あげるから。何度思ったのだろう。
私は、この瞳が嫌いだ。
母が愛してくれたとしても、私は。
自分が普通だと思っていた頃の自分が、1番幸せだった。
戻れない日を夢見ることは、諦めた。
『長話になってごめんね。私は…似ていると思った。私と、君が。』
「あ、俺と先輩?似てない似てない!だって俺そんな美人じゃねーもん!」
『…容姿の話じゃない。境遇の話、かな。』
「きょーぐー?」
『君は、私のように、普通に生きてて突然、呪術師になる事を強いられた。だから、似ていると思った。けど…違った。』
「…?」
『君は、君の意思で、なったんでしょう?君と同じだなんて、君に失礼だね。』
「んー?ちょっとよくわかんねえ。」
『君はきっと、立派な呪術師になるよ。』
「…!」
『君は、君らしく、生きるんよ。私は応援しとるからな。』
「…おう!!!」
呪術師の中でも、彼のようなタイプは稀少だろう。
五条先生は、きっと彼のような人を育てたいはず。
私は、もうすぐで卒業してここからいなくなるけど、彼らの成長を見届けてみたい。
10月31日。渋谷事変まで、残りあと数ヶ月。
私たちの日常は、壊される。
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作者名:杏 | 作成日時:2021年12月6日 13時