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『失礼します。』
ドアをノックし、部屋へと入る。
交流会を終えた彼らは怪我を治すことに専念させている。
「!あー!あの時の!」
『あの時だかどの時だか知らないけど、まずは挨拶が先じゃないかな。指も刺さないように。』
「さーせん!」
なんだ、普通の子じゃないか。
『虎杖悠仁…だよね。あの時はごめん。君のおかげで助かった。』
「あの時?もしかして昨日の?」
『そう。私は、周りが見えていなすぎた。君と葵のおかげで、正気に戻れた。それに…。君のこと、宿儺の器だからと勝手に決めつけ、殺そうとした。ごめんね。』
「ん?!すっごい事言ったよ?!え?俺、殺されそうになったの?!」
テンションの高さがすごい。
『うん、だからごめんね。五条先生からも、話は聞いた。一年生と四年生。学年が離れているから関わる事は多くはないと思うけど、よろしくね。お互い頑張ろう。』
「おう、よろしく頼む!えーっと、」
『赤崎虹。名前でいいよ。名字は嫌いなの。』
「へえ。名字に嫌いとかあるんだ。じゃあ虹先輩!」
『うん。』
「なあ、俺先輩に聞きたい事あるんだけど!」
敬語は、使わないんだ…。
『何?』
「なんで先輩は、呪術師になったの?」
なんで。まさか、君にそんな事を聞かれるとは思わなかった。
『…私は、呪術師になんて、なりたくなかった。』
「え、そうなの?」
『でも、なるしか、なかった。私には、選択肢がなかった。今も、そう。きっと私は、死ぬまで呪術師だよ。』
「なにそれ、おかしくね?」
『そうだね。おかしいかもしれない。私もそう思っていた時があった。でも、もう、そうは思えないよ。』
「なんか、あったの?」
『………私、家族がすごい仲良くて、』
「ちょーいいじゃん!」
『隣の…家の男の子の事が、好きだったの。』
「おお、急な恋バナ!」
『ママにも、その人の事、話してて、応援してくれてて、…その日も、信ちゃんの話をして、パパとママと一緒に、ご飯食べて、一緒に、寝たの、』
「…うん。」
『いつもは起きないのに、その日だけ、夜中に目が覚めちゃって。…隣には、誰もいなくて…。』
「……」
『リビングに行ったら…パパと…ママが…ころされ、てた、の。』
「っは?」
『ごめんね、話すの、下手で。』
「いや、それは全然いいんだけど!誰に、殺されたの?」
『……禪院。』
「えっ?」
『禪院…直哉。』
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作者名:杏 | 作成日時:2021年12月6日 13時