また明日。《6》

♯284 壱馬 ページ34

【壱馬side】


慎にどんだけ聞いても口を割らんかった
こうなったら、自分で聞くしかないか……

自分でも、もうええやん……って思って今日もずっと考えてたけど、やっぱり自分自身あやふやな気持ちのままは嫌やなってのがある

陸さんは羨ましいみたいに言ってたけど、隣に住んでても何もええ事なんてないって……

寧ろ、昨日みたいなんは、かなり……病みそうになる

まだ帰ってきてへんっぽいし、陸さんと一緒かな
なんて思いながらベランダで涼んでたら遠くの方に黄色いチャリを押した人が見えた

……Aやん。やっぱ陸さん一緒か
Aと一緒に歩いてる人がいる
………………何か……細いよな？陸さんちゃうん？
て言っても、15階からやからちゃんと分かるはずもなく…
その人はマンションの下まで来て手を振ってそのまま来た道を帰ってった
陸さんとちゃうなあの人……え、誰？第2の男？

……アカン。今日寝られへんこのままやったら
突撃しよかな……

しばらく我慢して、Aん家のインターホンを押した


A「……壱馬くん……(苦笑)……どうしたの？」


壱馬「ちょっと、喋れる？」


A「あ……えっと……今からちょっと……」


壱馬「すぐ終わる。ベランダ出てくれん？」


A「ベランダ？……うん……分かった……」


多分……今隣におったら抱きしめてしまいそうで
色んな感情が湧き出てきてコントロール出来ん気がする

だから、ベランダで話す事にした
壁一枚挟む事で、ちょっとは冷静に喋れる気がした

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