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大病院だぞ。病床は最低でも400床以上、医療従事者、そして受診者も入れたらきっと500人は超えている。
この呪霊には今500本以上のHPゲージがあるということ。私は500回以上コイツを祓わなきゃいけない。
「……駄、目だ…コイツは"
そう理解したのと同時に私の視界から、目の前にいる呪霊だけから"死の線"が消えていく。
私は片目を覆う。考えたくもなかった最悪の事態。
"死"が視えない私は、術式を持たないただの呪力を持った人間だ。
「いーちゃ…!!」
触手はいーちゃんの体を貫き、その触手は抱き抱えられていた私の右腹部にまで届いた。今ので顕現するのが難しくなったいーちゃんは私の中に戻っていく。放り投げられた私は床に転がりそのまま蹲る。
「もウ嫌ダ痛い苦シい。死にタくナい。お家ニ帰りたイ、お母サんお父さン」
追ってくる呪霊から女の声が、男の声が、子供の声が聞こえてくる。
その言葉を聞いて理解した。この呪霊はいーちゃんと同じだ。"死への恐れ"から生まれた呪霊。
起き上がろうとするが体が動かない。体があつい、血が止まらない。
呪霊は私の体に触手を巻き付け私を持ち上げた。
「命増エる、助かル、生きラれる」
私の体に浮き上がっている"死の線"が濃くなっていく、増えていく。
殺される、私はこの呪霊に殺される。
「…だから、三級のままでよかったんだ」
呪霊の研究をしたかった。だけど別に命を懸けてまでしたい訳じゃない。一級なんて運が悪ければ特級と戦うことになるかもしれない、まさに今そうだ。だから三級のままでいたかった。
死に包まれていく、私の世界が死で満ちていく。
「はは……」
"死"
そんなの今更か。とっくの昔から私は多くの人から"死"を望まれていた。
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ゆかり(プロフ) - 2の完結と続編お疲れ様です!めちゃくちゃ面白くて好きです!(唐突な告白)イラストも素敵で見入ってしまいました。アイビスで描いているとおっしゃっていましたが、指で描いているんですか?それとも何か専用機器を使用しているのですか?よければ教えてください! (2021年8月14日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - この作品めっちゃ大好きです!これからも更新頑張ってください!! (2021年4月5日 2時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
舞香(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです…!両儀式もめちゃくちゃ推してるので、好きな要素しかない作品です!更新頑張ってください! (2021年3月31日 6時) (レス) id: 26fd9ad117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コンペーと | 作成日時:2021年2月5日 0時