2 残念すぎる美人とよく言われる【呪術廻戦】

#. 52 ページ6

.









.









「何なの、何なのよコイツ…なんで祓えないのよ…！」









女性は目の前にいる呪霊を見ながらそう言った。呪霊のすぐ側には動かなくなった男性の姿。



あれから、何回この呪霊を祓っただろう。
何回殺してもコイツは瞬時に蘇る。私たちの体力だけが削られていく。
これが特級か。こんなのと比べたら私が今まで祓ってきた呪霊は赤子だ。
そんなことを思いながら私は息を整え、柄を握り直す。がその瞬間、呪霊の体から鋭利な触手が現れ私たちに襲いかかる。

壁に強く叩きつけられ私はそのまま意識を失った。









.









揺れを感じ私はゆっくりと目を開ける。
目を開けるとすぐそこにはいーちゃんの顔。いつもの人型ではなく醜悪な姿をしていた。
後ろを見てみると呪霊が私たちの後を追ってきていた。









「いーちゃん、私の他に女の人がいたでしょ？！あの人は！？」

『…今は、自分のことだけを考えなさい』









いーちゃんの声が直接脳内に響き渡る。
それを聞いた私は下唇を噛み締めた。一級全員死んだ、残ったのは私だけ。するといーちゃんはこう言った。









『あの呪霊、"死"とは程遠いところにいる。それと同時にあの呪霊からはいくつもの"命"が感じられる』

「いくつもの命…？」







いーちゃんのその言葉を聞いたのと同時に頭の中でバラバラだったパズルのピースが次々とはまっていく。


院内にいたはずの消えた人たち。

祓っても瞬時に蘇る呪霊。









「そんな術式あってたまるか…ッ！！」









いーちゃんに抱えられ逃げながら目を見開き追ってくる呪霊を見る。
アイツの術式は対象を体内に取り込み自分の"命"として有する術式。簡単に言ってしまえば『永遠』だ、人の命を吸い取ってコイツは生き長らえている。









.

#. 53→←#. 51

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す