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今、何時だろ。
なんてことを思いながら私は何枚も着ていた重い着物を脱ぎ、襦袢のまま離れの裏にある禊の際に使用している湖に足を踏み入れた。
「……つかれた」
湖に浮かび、月を見ながら呟く。
神代を崇拝、信仰している人たち全員の話を聞き、それに対し言葉をかけた。目が眩むような馬鹿みたいな数をだ。
『伊邪那美様、好きな子がこれから先私のことを好きになってくれるでしょうか』
知らないよ。
『伊邪那美様、私の家はこれから先安泰でしょうか』
知らないよ。
『伊邪那美様』 『伊邪那美様』 『伊邪那美様』
『伊邪那美様』
今までたくさんの人の話を聞いた、たくさん言葉をかけてきた。どれもこれも、どうでもいいことばっか。
これから先のことなんて分かるわけない。
過去を戻すことなんて出来ない。
死者を蘇らすことなんて出来ない。
私だって人間だ。
「…私は、神様じゃない」
ああダメだ、ネガティブ思考になってる。疲れてるんだ早く寝よう。
頭を抱えながら私は立ち上がる。湖から出ようと離れの方に体を向けるとそこには五条の姿。
「…やーん、五条のえっ」
「オマエの透けた下着姿見ても別に何とも思わねえから安心しろ」
その言葉を聞き私は舌打ちをし胸を隠してる手をどける。なんでここにいんだコイツ。
「つーか大人しくしててねって言ったでしょ、待ても出来ないのかオマエは」
湖から出て五条を指差しながらそう言う。
"神託"が終わった後、五条のことを任せていた使用人がすぐ頭を下げに来た。そもそもコイツが言うこと聞くわけがない、やっぱ帰ってもらったほうがよかったかな。
そんなことを思っていると五条はこう言った。
「オマエの言った通り、クッソ面白くなかったわ」
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ゆかり(プロフ) - 2の完結と続編お疲れ様です!めちゃくちゃ面白くて好きです!(唐突な告白)イラストも素敵で見入ってしまいました。アイビスで描いているとおっしゃっていましたが、指で描いているんですか?それとも何か専用機器を使用しているのですか?よければ教えてください! (2021年8月14日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - この作品めっちゃ大好きです!これからも更新頑張ってください!! (2021年4月5日 2時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
舞香(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです…!両儀式もめちゃくちゃ推してるので、好きな要素しかない作品です!更新頑張ってください! (2021年3月31日 6時) (レス) id: 26fd9ad117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コンペーと | 作成日時:2021年2月5日 0時