2人のお兄ちゃん 7

撮影後半 ページ39

ｵﾐ side



撮影が進むにつれ、女の子の共演者となかよしになっていった萌云だけど、それでも俺の傍から離れる事はなかった。余程、あの事件が怖くて尾を引いているのだろう。



そんな萌云が、気を許すのは事務所で仕事をしている時だけだった。だけど、そんな安全地帯だと思っていたこの場所に、敵が潜り込んでいた。



色んな事が、起こって置き去りになってるみたいに見えるかもしれねーけど、水面下で行われている、ｼｰｸﾚｯﾄ企画での楽曲制作も同時進行でしている萌云は、この時だけは1人になる。その事を知った敵は、どんどん萌云との距離を詰めていた…。



そんな事も知らない俺らは、ﾄﾞﾗﾏの撮影、撮影が休みの日は、他の仕事をこなしていた。



そろそろ撮影も佳境を迎えるという日



｢俺 凛花の事 妹以上の感情を持ってるし｣



｢え？お兄ちゃん？｣



｢俺と凛花は、血が繋がってねーし…仕方なくね？｣



｢血が繋がってない？どういう事？｣



そう、俺は凛花に妹以上の感情があると気付いた時、父さんに当たった。妹じゃなかったら…って。



｢凛花が20歳になる迄はその気持ちは絶対に閉じ込めろ。その時になっても、凛花の事が好きだったら、全てを話してもいい。戸籍とかそんなものに拘らなくて、凛花も一緒に居たいと言うなら、ずっと一緒に居ればいい｣



その時、父さんに言われたんだ。



大学生になった凛花は、憧れの人が出来たらしく、嬉しそうに話してくるようになった。そんな事が続いた有る日、余裕の無くなった俺は、遂に自分の気持ちをぶつけてしまった。せめて、俺のことを恋の舞台にあげて欲しかった。



全てを知った凛花は、黙ったままだった。



｢凛花…？｣



｢ん…ずっとお兄ちゃんだと思ってたし…えと、今まで家族だと思ってたのに、血が繋がってないとか、どうしたらいいのか分からない…｣



そうだよな…俺は事実を打ち明けた事が正解だったのか、自問自答する事となった。関係が壊れてしまうなら…兄貴としてでも傍に居れる方が幸せだったのか？



いや、もしそうだとしたら…凛花の相手を見続けることになる…それだって、俺には辛いことだ。



｢お兄…ちゃん。気持ちの整理が出来るまで、時間が欲しい…｣



絞り出すように凛花が言った。



｢勿論、そんなすぐに答えが聞けるとは思ってねーから｣



なー、聞いてすぐに、お兄ちゃんだからと言われなかったのは、少しは期待してもいい…のだろうか？

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