2人のお兄ちゃん 4

兄として ページ37

ｹｲｼﾞ side



ﾋﾛさんの招集で、集まったｴｸﾞｻﾞｲﾙﾒﾝﾊﾞｰ。



｢ごめんな、ちょっと話しておきたい事があってな｣



そう切り出したﾋﾛさん。



｢希愛ちゃんの事なんだけどな？ｹｲｼﾞから、話すか？｣



｢あ、はい｣



｢個人的な話になるんですけど.......希愛が、事故に巻き込まれたのは、皆さん知ってるかと思います。希愛は、蓋をしていた事実を思い出し、その事に苦しみ、壊れそうになっています｣



｢壊れそう？｣ｱﾂｼさんが、心配そうに聞いてくる。



｢まずあの日、希愛があるはずのない車を見つけて、園児を遠ざけたのは事実です。そして、その後運転手と目が合った.......。その途端動けなくなったそうです。報道されてるように、園児を庇うために、自分に関心を向けた訳ではないと.......美談にされている事にも苦しんでます。そんな立派な保育士じゃないと.......怪我をしたのが自分ひとりだったのはただの偶然で、今 子どもたちと向き合ってる先生の方が大変だし評価されるべきだと.......｣



｢希愛ちゃんなら、言いそう｣そんなｹﾝﾁの言葉を受けて言葉を続ける



｢希愛は、今ほとんど 寝れてません。ぶつかったｼｰﾝを思い出しては、震え静かに泣きます。その度に抱きしめて落ち着かせるんですけど.......｣



｢それじゃ、ｹｲｼﾞもｵﾐも寝れねーじゃん.......。ってか、どうして希愛ちゃんなんだよ.......｣ｱｷﾗが悔しそうに呟く。



｢俺とｵﾐは、寝れる時に寝るんで大丈夫です。責任感の強い希愛は、仕事にいけない事だけでも自分を責めてるのに、立派な保育士だともてはやされて、限界がきてしまって.......卑怯かもしれないけど、逃げたいって.......。今日はｵﾐが休みだから、ｲﾒﾁｪﾝするそうです。希愛は.......大好きだった仕事を辞める決断をしました。ﾋﾛさんに言われてた、萌云として別の人を生きたいって.......｣



｢萌云？｣みんなが首を傾げる。



｢萌云ってのは、希愛ちゃんが考えた芸名ね。ﾌﾟﾛｼﾞｪｸﾄを立ちあげるって話をした時に考えてくれてた。この名前にも意味があるけど、それは今は言えない。俺がね、言ったんだよ。萌云ちゃんとして受け入れる準備は出来てるって｣



｢なるほど。じゃあ、事務所所属になるんすね｣ｱﾂｼさんが呟く。



｢希愛ちゃんから、まだ聞いてないんだけどね。その方向で動き始めてる｣



｢希愛が迷惑をかけると思いますがお願いします｣

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