2人のお兄ちゃん 4

真実 ページ13

ﾋﾛ side



｢ﾋﾛさん.......少しだけ、いいですか？｣



静かに呟いた希愛ちゃん。俺から、聞くことはしないつもりだったけど、希愛ちゃんが話すことで気が楽になるなら、いや実際そんなに簡単な事ではないだろうけど聞いてあげたいと思った。



｢ん、いいよ｣



俺の言葉を聞いて、ゆっくり話し出した希愛ちゃん。



遠足に出掛けた、その場所は他の園の子どもたちも沢山いたらしい。そんな中、あるはずのない車を見つけて、咄嗟に自分の周りにいた子どもたちを集めて、向こうにいる先生の所まで競走だよって遠ざけた。自分の園の子どもたちは、遠ざけられたけど他の園の子どもたちもいる。そんな時、狂気に満ちた運転手と目が合ったらしい。その瞬間、希愛ちゃんは金縛りにでもあったかのように、動けなくなった。それでも、何とか声を絞り出して、叫んだ。



｢危ない、逃げて.......｣



その時、不敵な笑みのそいつが、大きな塊と共に突っ込んできたのだと.......。さっき、駐車場で運転してた人と目が合って、思い出したらしい。



｢さっきって事は、ｹｲｼﾞもｵﾐも知らないんだよな？2人を呼ぶか？｣



ｶﾞﾀｶﾞﾀと震える希愛ちゃんが、痛々しくて聞いてみた。安心出来るのはｹｲｼﾞやｵﾐだろうから.......。



｢休憩する時でいいです.......でも.......｣



｢でも？｣



｢ﾋﾛさん.......少しだけ、手を握っててくれませんか？｣



本当は、怖くて仕方ないのだろう。ｹｲｼﾞやｵﾐに包み込まれたいんだろう。でも、仕事の邪魔をしたくない、お兄ちゃんだけでなく、ｾｶﾝﾄﾞや三 代 目に迷惑をかけたくないそんな、心理が働いたんだろう。



そっと、希愛ちゃんの小さな手を包み込んでやる。



｢ありがとうございます.......｣



｢ん｣



そんなことが、起こってた中で冷静に、子どもたちを遠ざけ他の園の子どもたちの事も考え行動出来るなんて、本当に凄い子だと思う。新聞で報道されたのを見たけど



遠足に出掛けた先の公園で、暴走車に巻き込まれ保育士 怪我.......他に怪我人がでなかったのは不幸中の幸い.......



なんて書かれてたけど、何が不幸中の幸いだよな。ﾏｽｺﾐが、騒がないように、写真が出回らないように、根回しはしてあるけど、今はSNSの時代。どこから、写真や個人情報が漏れるか分からない。兄妹の引越しとか、考えた方がいいかもしれないな.......。これ以上、傷つかないように、守ってあげないとな。

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