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私は、呪術師だから2 ページ39

そんなはずない。私もそう思いたい。

『私のせいなの。私のせいで…ママはっ…パパはっ…』

「お前のせいやない。なんの事かわからんけど…お前のせいやないよ。」

『私っわたし…っ。信ちゃんと同じ、普通に生まれたかったっ…!信ちゃんと同じ、普通の女の子に、なりたかった…』

「…虹。普通ってなんや?俺は、何が普通で、何が普通じゃないのかわからんけど、俺とお前は、同じ、人間やよ。」


違う。違う。


違うよ。


『違う。普通の人間は、…こんなこと、しない。普通の人間は…普通のっ学生なら、こんなモノ、持たない…』

私は、スカートの中から、呪具…短刀を出した。

信ちゃんは、瞳が落ちてしまいそうなくらい、見開く。

「虹?なんや、それ…」

『言った、でしょ…。私は普通じゃないって。普通の高校生が、こんなモノ、持ってる?』

「……。」

『もう、いや…痛いのも、怖いのも、…失うのも、嫌。怖い。怖いよ。』


「…俺が、おるよ。そばに。もう、そんな思い、させへんよ。だから、教えてくれへんか。」


『私は…、っ、呪術師、なの…。だから、戦わなきゃいけない。』

「じゅじゅ…?」

『昔から、幽霊が見えるって言った、の、覚えてる?』

「うん。」

『それは、幽霊、じゃなかったの…。』

私は、呪霊の説明をした。

そして、その呪霊を祓う呪術師のことも。

「つまり、虹はその呪術師ってことなんやな。」

『うん、…だから、』

私は、ウィッグを取り、そして、カーディガンを脱ぎ、裾を捲る。

「…その、傷…」

『この10年、毎日、頑張った。毎日、死ぬ思いで、戦って。毎日、思った。明日は、生きられますようにって…』

「そんな…なのに、おれは…」

『ごめん、ごめん信ちゃん。話さないって決めてたのに…っ。ごめんね、…』

「なんで、謝るん…」

『こんな私、嫌でしょ?嫌いになったでしょ?』

「ならへん、ならへんよ。なんで、嫌いになるん。」

『だって、だって…っ』


「虹は、…みんなを守ってくれたんやろ。虹のおかげで、助かった人も沢山おる。こんな、女の子が傷だらけになりながら、頑張っているのに…あんな、泣き虫な女の子がこんなにも…、なのに、嫌いになる奴がおるか。俺は、凄いと思うで。その勇気、努力、覚悟、並大抵のものではないんやろ。虹は…凄いんやな。頑張ったんやな。話してくれて、ありがとうな。」

信ちゃんも、戸惑っているはずなのに。



私を優しく抱きしめてくれた。とても、暖かかった。

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作者名: | 作成日時:2021年10月22日 14時

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