貴方と同じ、普通に生まれたかった【北信介】【呪術廻戦】 (ページ35)

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今日は、貴方が生まれた日ページ35

当日。7月5日。

時刻は12時。

言われた時間は12時半なのに、早く着いてしまった。

鞄にはちゃんと、プレゼントが入ってる。

喜ぶといいな。

体育館前に、座る。

中からボールの音と、

「ツム！なにしとんねん！はよ片付けろや！」

「わかっとるわ！」

…双子の叫び声。

ふふ、楽しみ。

綺麗な青空だなあ。

「何してんの？」

『！』

横を向くと、角名倫太郎がいた。

気づかなかった。平和ボケ、しすぎたかな。

『あ、呼ばれたから…』

「…あー。なるほど。じゃあ、こっち来て。」

彼に着いていく。

体育館。

待って、私、バレー部員でもないのに、入っていいの？

『あの、』

「なに？」

『私、バレー部じゃない。だから、』

「いんじゃね？呼ばれたんでしょ？」

『そうだけど。』

「ならいーよ。どーせ双子だろ？」

『うん。』

わかってるんだ。
てか、このスンッてした顔、何かに似てるな。

「入って。」

『うん。』

靴を脱ぎ、体育館に入る。

…あ、ここ、この前私が壊した体育館か。

先生に口封じと工事頼んだっけ。勿論私の実費で。

私が入ると、体育館中の視線が集まる。

…来なきゃよかった。

「虹？なにしとるん？」

『あ、…信ちゃ…北さん。』

「…！」

危ない。信ちゃんって、呼ぶところだった。

「なんでここに居るん？」

『それは…』

「俺が呼んだんです！北さん！」

いつの間にか、ドヤ顔をした宮侑が居た。

「？どういうことや？」

「ちょっと予定と違うけど…まあええか！

北さん！お誕生日おめでとうございます！！！」

宮侑がそう言うと、周りが続けておめでとうの言葉と、拍手が起きた。

「！…ありがとうな。」

信ちゃんは、少し照れたような、嬉しそうな顔をした。

「でもなんで虹が…」

「それより北さん！こっち！こっちです！」

宮侑が後ろを指差す。

そこに居たのは、大きなケーキを持った宮治。

…なんか口の周りにクリームついてない？

「あーーーーっ！サム！つまみ食いしたやろ！？ここ、なんか欠けとるやんけ！！」

「な！そんなことするわけないやろ！言いがかりや！」

口の周りのクリームが証拠だと思うんだけど。

『ふふっ…ふふふっ』

ダメだ。耐えられない。

「「わ、笑った…」」

「初めて見た…」

周りがそう言ってるのに気づかないくらい、笑ってた。

「笑った顔が、1番かわええなあ。久しぶりに見れてよかった。」

信ちゃんの、優しくて温かい目が、なによりも幸せだった。