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周りの視線が日々痛く感じる。
まあどうでもいいけど。

あれから一週間が経つ。

時が経つのは早いものだ。

今日ももうすぐ終わる。そう思っていた。

「虹。」

名前を呼ばれ、振り向いた。振り向かなければ良かった。その声が誰のものなのかくらい、わかっていたのに。

「虹。少し話せるか?」

信ちゃん。

「貴方と話すことはない。さよなら。」


「俺はあるんや。なあ、頼む。」

昔から、私は信ちゃんに弱い。

普段、人をあまり頼らない信ちゃんの頼みには、弱い。

「す、少しなら。」

「…!ありがとう。」

嬉しそうな顔をした信ちゃんを見て、私は少し心が温かくなった気がした。





「それで…何?」


「なんべんも考えたんやけど…わからへんのや。お前が俺に冷たくする訳も。お前がそーなってしまったのも。言ってくれへんと、教えてくれへんとわからん。だから教えてくれ。…家族が亡くなったことに、関係あるんか?」


優しいな、信ちゃん。

考えてから、聞いてくれる。

それは昔から。

話してしまいたい、本当は。

また戻りたい。あの頃に。

「いまは、…はなせない。」

「…それはつまり、いつかは話してくれるってことやな?」

「……。」


「ほうか。なら待つ。ずっと待っとる。だからゆっくりでええよ。ありがとうな。…でも、たまにでええから、話したい。そばにいたい。それは許してくれへん?」


いいよね、それだけ、なら。


こくりと、縦に頷く。


「!ほんま?ほんまか?嬉しいなあ。ははっ!」

彼は、笑った。


その笑顔は、私が大好きだった、昔と変わらない笑顔だった。

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作者名: | 作成日時:2021年10月22日 14時

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