貴方と同じ、普通に生まれたかった【北信介】【呪術廻戦】 (ページ29)

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すれ違い3 ページ29

あーなんでこうなった？

バレーなんて、やりたくもないのに。

でもあそこで無駄に抵抗や揉めてしまうと目立つと思って、黙ってたのが悪かったな。

力が弱い、か。

そんなこと言われるの、"久しぶり"。

バレーは、できないことはないけどここで本気を出してしまえばきっと変な詮索が入るよね。

何もしないでおこう。

そう思っていた。

＊

宮侑のサーブ、セットは私でもわかるくらい、凄かった。

一つ一つが丁寧、かつ正確。

それ以外の3人も凄い。

確か、クラスの女子が言っていた。

この稲荷崎高校のバレー部は、毎年全国に出るほどの実力だって。

この4人はそのレギュラーメンバーらしい。

将来はプロにでもなるのだろうか。

なんか、いいな。

そんなことを呑気に考えていた。

「おいお前、やる気あんのか、ヘッタクソなのかどっちや！突っ立ってるだけやん！お前ばっか狙われて点差が開きまくりや！」

いや、勝手に入れたのは誰だよ。

抜けていいかな？周りの視線が痛いほど刺さる。

『なら、抜けても「所詮、つまんない女やったちゅーわけか？少しでも期待した俺がアホやったわ〜。」は、』

「なんや？」

少しニヤニヤしながら挑発してきた。

少し冷静になればわかることなのに、私はそれに乗ってしまった。

『ちょっと、本気でやってくれる？加減とかいらないから。』

「言ったな？後悔しても知らへんで？」

『大丈夫。私、"最恐"だから。』

こんなにも、心が躍るのはいつぶりだろう。

そして、宮治のサーブから再び始まる。

言葉の通り、加減のない力強いサーブ。

だけど流石に私ではなく、それは銀と呼ばれる男の子に狙われ、その子は綺麗にレシーブをした。

そしてそれを宮侑がセット。

「打てるもんなら打ってみぃ！」

少し高いトス。

「侑、ガチじゃん笑」

「ツム、大人気ないで。」

「高く上げすぎや侑！」

3人が口々にそう言う。

『本当、人のこと散々馬鹿にしてくれるよね。どいつもこいつも。』

そう小さく、呟いた。

ﾊﾞｷｨｨﾝ!!

体育館中に響く、床に当たる音とは違う音。

それは、ボールが床を突き抜けた音だった。

周りが騒然とした。

角「はっ？」

銀「な、なんや今の…」

治「嘘やろ…。」

侑「どーゆうことや…は？」

あーーーーーー

やっちゃった。やってしまった。

大人がなかったのは私の方じゃないか。

二つも歳が上なのに。

この時ほど、後悔したことはない。