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理由 ページ17

登校2日目。

私は昨日とは違い、普通の生徒と同じ時間に行く。

また教室の人に変なこと言われるのはだるいし、5分くらい前に行こうか。


慣れない制服を着て、タイツを履いて。

最後にウィッグ。


そして家を出る。






学校に着いて、廊下を歩く。1番端っこの1組は1番遠い。

廊下ですれ違う女の子たちが皆1組の方を見て浮き立つ。


「え、来てるってほんま?あのバレー部の主将が?」

「ほんまほんま!私見たもん!珍しいよなあ、この時間に来るなんて。」




バレー部の主将。

ああ、もしかして昨日双子くんたちを叱っていた人かな?

そんな人が何をしに来たのだろう。


「誰かを探しているらしいで?北さん。」


その言葉に、足が止まった。


きた?北?と言ったのか?

いやまさか。


北なんて名字、他にもいるだろう。


そう思い、足を動かす。


そして1組が見えた。
その入り口に立っていたのは。


髪が白く、毛先が黒い。
瞳が狐のように黄色い。

彼、だった。


また、足が止まる。



ただ、昔と違うのは背。

きっと私よりもとても大きい。


その顔つきは昔から変わらず表情がわかりにくいけど、誰よりも優しいの、知ってる。



信ちゃん、信ちゃん。


会えた。嬉しい。


変わってない。



信ちゃんと叫んで、抱きついてしまいたい。


貴方のそばに、近づきたい。






でも、できない。



私は、気づかなかったふりもして、彼の前を通り過ぎる。


そして彼も私に気づかない。






これで、いいんだよ。






昼休み、昨日と同じ場所へ行く。

あの猫が、また来た。

『可愛いなあ。あ、今日はね、ミルクを持ってきたの。』

持ってきた小さい小皿にミルクを注ぐ。

それを舐める姿がなんとも可愛らしい。



そして一つ気付く。誰かが、私を見ている。


しかし呪力や敵意を全く感じない。

しばらく泳がせることにした。








昼休みが終わり、教室へと戻る。


廊下を歩くと、先ほどと同じ気配が近づく。

後ろを振り返ると、隣の席の男の子がいた。

なんだ、こいつか。

少しの安堵。


教室へと戻る時、廊下が朝と同様、女子が浮き足立っていた。


「また来てくれたんや、北さん!」
「ほんま目の癒しやわぁ。かっこええなあ!」


何をしに、来たのだろう。

どうでもいい。関わることはない。




またも彼の前を通り過ぎ、席へ着く。





信ちゃんと隣の席の子が何かを話している。




すると、彼はこちらへとまっすぐに向かってきた。

理由2→←再会8



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作者名: | 作成日時:2021年10月22日 14時

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