検索窓
今日:4 hit、昨日:13 hit、合計:188,377 hit

再会7 ページ15

北信介side


今日もいつも通りの日を過ごしていた。

授業が終わって部活が始まる。

するといつもみたいに、2年組が固まり始めた。

ちゃんと締めなあかん。

主将として、するべきことはせえへんと。


なにやら、美味そうだとか話していた。しかもそれは今日治のクラスに来た転校生のこと。



注意をして、しばらく近くで様子を見ようとした時やった。


「せや。林檎みたいに赤くて綺麗やったんや。お前、気づかなかったか?」

目が林檎みたいに、赤い?


気づいたら、治の肩を掴んどった。


「その子は、赤い、目やったんな?」

勝手に口がそう動いていた。

治が肯定する。

さらに、治にこう聞いた。


「それは…右目だけか?」

「は、はい。左目は…眼帯してはりました。」

右目は赤く、左目は眼帯。

そんなやつ、この世に2人とはおらん。

「な、名前は…?」

これでわかると思った。


「あ、赤崎、虹です。」

その名前を聞いて、思わず涙が出そうになった。

何故ならその名前は、俺が会いたくて仕方のない、彼女の名前やから。


治にお礼を言い、その場から去った。


そして頭の中でいくつかの疑問が浮かぶ。


虹は、俺より一つ上のはず。
なのに何故2年生に…?
それに、戻ってきたのにどうして俺に何も言ってくれへんのや…?

どうして、俺には教えてくれへんの…?





明日、治の教室へ行こうと決意を固めた。
もうすでに、緊張のせいか手の汗が止まらん。








その帰り、俺は久しぶりに虹の家へ行こうと思い立ち寄った。


だけど、そこは前と違って、立ち入り禁止の札などなかった。




そうか、誰かが買い取ったんや。もう、あいつの家やないんや。





そう思うと彼女の居場所が一つ失くなった気ぃして、また悲しくなった。






家に帰って、婆ちゃんにその事を全て言った。





婆ちゃんは、優しく言ってくれた。




「信ちゃん、きっと会えるよ。な?」


そんな慰めの言葉も、涙と共に流されてしまった。

再会8→←再会6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (66 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
206人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年10月22日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。