再会4 ページ12
いつのまにか、昼の時間だった。
10年前のあの日から、私は空腹というものを感じなくなった。美味しいとも、思わない。
だけど、食べなきゃ死ぬから食べるだけ。
その為なら栄養だとか健康とか考える必要はなかった。
鞄から巾着を一つ取り出し、教室を出る。
私の話でどうやら盛り上がってるしいちいち注目を浴びてだるい。
校舎の裏、人気がない場所を見つけた。
ここなら誰にも見られない。
『頭、蒸れるな…。』
地毛である赤い髪は目立つ。なので上から黒い髪のウィッグを被っていた。長さは肩くらい。
私は巾着からカロリー○イトを取り出す。
それと1日分のカロリーが取れるというゼリー飲料。
それだけで、充分だ。手間も時間も取られない。
休み時間は45分。
その間暇なので調査資料やら最近の呪霊に関する本を読む。
その時、目の前の草の茂みが動いた。
風ではない、よね?
するとその茂みから出てきたのは白い猫だった。
「ニャー。」
『…!』
か、可愛い、可愛い!!!
すると猫はこちらへ寄ってきた。
すりすりと、私の足にくっついてくる。
可愛いすぎる…!
よく見ると、腹がかなり膨らんでいる。
妊娠しているのだろうか。
『無事に産むんだよ。』
今日1日で、その時間が一番幸せだった。
そしてその時間が終わり、私は教室へと戻る。
また始まる。憂鬱な時間が。
その時、私は気を抜いていたからか、一つの気配に気づかなかった。
「なんや、笑えるやん。」
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作者名:杏 | 作成日時:2021年10月22日 14時