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*episode8_一方は和やか ページ10

始まった喧嘩に、そろりと優晴(ゆせ)ちゃんから離れる。

一応、小学校からの仲なのでこうなると大変なのを知っている。
ついでにいえば、私なんかでは止めることができないのも。

あんまりヒートアップしなきゃいいなあ、と一歩下がって見ていると、
後ろから「あーあ、始まっちゃった」という声が聞こえた。


「あ、もりくん」

「さっき挨拶したのに忘れたのかな?」


ちょっとだけ口角をひくつかせた彼に、
怒らせてしまった、と焦る。

身ぶり手振りをふりながら、あわあわと謝る。


「ご、ごめっ、ごめんなさいっ!!
なんか、いっぱい、衝撃、なって?」

「うん。わかったから落ち着こう」


くすくすと楽しそうに笑う彼に、
からかわれたのだと気づき、少し頬を膨らませる。

すると、目敏い彼はすぐに気づき、ごめんねと言う。
私が話しやすいように、屈んで言ってくれる優しさにこくんと頷く。


「さて、あいつらはほっといて教室いこっか」

「え、だ、大丈夫......かな?」


大きな声で罵りあってるわけではないが、
双方とも男女の中では高い身長を誇る二人の口喧嘩は
周りがそそくさと離れるくらい迫力がある。何より美形だし。

もりくんはうーん、と困ったように頬をかくも
「ま、大丈夫だよ」といって歩き始めた。

私は端から二人を止める術をもってないので、
もりくんが大丈夫というのを信じて、彼の後を追った。


「今日早いね。朝練あったんだよね?」


朝練のある彼らはだいたい始業の5分前に教室に入る。

今はまだ20分も前。
気になってたことを聞くと、彼は笑いながら教えてくれた。


「あー、なんか文化祭が近いじゃん?
ホームルーム後すぐに出し物の話をするらしくて、
朝練ある部は早く終わるようにって先生たちは言われたらしいよ」

「あー、なるほど」

「まあ、そのせいもあって佐久早の機嫌が少し悪いんだよね」

「......うん。それは気づいた」


ちらりと二人で後ろを見れば、
威嚇した獰猛な獣よろしく睨み合う優晴ちゃんと(おみ)くん。

まだやってるその姿に二人で顔を見合わせて苦笑した。

*episode9_食べたいなあ→←*episode7_ゴングが鳴る



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設定タグ:ハイキュー!! , 井闥山学院 , 古森元也   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:星蛍 | 作成日時:2020年3月31日 14時

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