【HQ】こもりくんとこほりちゃん【井闥山】 (ページ42)

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＊extra edition1＿不織布三層越しページ42

しんしんと降る雪を眺めながら、
今年はホワイトクリスマスだなあ、と思う。

きっと街中では色とりどりのネオンを横に、
世の中の恋人たちが幸せそうに過ごしているのだろう。

自分もそうなるのだろうと、最近そわそわしていた。
というか、楽しみだねえと癒し系彼女と話していた。

の、だが......。

「ごめんなざい......」

「しょうがないって。風邪だし」

布団を目深にかぶって、物理的にも心情的にも沈んでいる彼女、基ほりちゃん。

俺はベッドの横でマスクをしながら、
こんもりとしている布団をポンポンと叩く。

そう、二人でイルミネーションでも見ようと話していた今日の予定は、
急遽、一時間の短時間お家デートに変更になった。

話してた通り、ほりちゃんは最近風邪をひいていた。
そして昨日学校の冬期課外が終わり、
気が緩んだのか今日寝込んだしまった。

で、現在、だいぶ熱が下がった彼女は自己嫌悪で饅頭となっていた。

ポンポンと叩いていると、もぞりとほりちゃんが動いた。
そろそろと先程よりは幾分か良くなった顔が出てきた。

といっても彼女の額には熱冷ましのシート。
顔の下半分には明らかに大きいマスク。

潤んだ目はあまり見ないようにしながら、
ん？と優しく微笑む。

「......ごめんね」

「気にしてないって」

今日何度目かの謝罪に苦笑しながら、
額に張り付いた前髪をすく。

やっぱりまだ具合が悪そうなほりちゃんは
気持ち良さそうに目尻を緩める。

ああ......我慢我慢我慢我慢我慢。

手を出しそうになるのをぐっと理性で抑えながら、撫で続ける。

病人に手を出したら、今度こそ晩葉(ばんば)と佐久早に殺される。
考えただけでも恐ろしい二人の顔に、身震いする。

だが、これ以上見てたら本当にヤバい気がしたので
視線をほりちゃんから外し、なんとなく周りを見渡す。

小花柄のカーテンとかパステルカラーの部屋模様を勝手にイメージしていたが、
ほりちゃんの部屋は意外なくらいシンプル・イズ・ザ・ベスト。

無地の水色のカーテン。
白のペンキで塗られた木机と木椅子。
紺色の絨毯。

そこまで見て、机のわきに所狭しとおかれているビタミンカラーの袋が目に入った。