*episode3_潔癖セット ページ5
思ってた反応と違うのが返ってきて唸る。
彼女は気づかず、またぶつぶつとどこかへ意識を飛ばしていた。
「は、背後の危険を見逃してぐっさりいくかも。
いや、その前に......」
「いや、ぐっさりってなに? ほりちゃん、大丈夫?」
「は、はい! もりくんを危険な目に合わせてすみませんでした!!」
「大丈夫そうだね、うん」
あわあわ、わたわた。
そんな効果音が見える彼女に、
相変わらず面白いなあと思いながら頭を撫でてあげる。
その瞬間に、パシンッと払われた。佐久早に。
「あわわわ、もりくん、大丈夫ですか?!」
「いってぇ。なんだよー」
「......汚れる」
「失礼だなっ、おい!!」
そう突っ込む傍らで、
湿布やら包帯やらを取り出す、ほりちゃん。
次から次へと出てくる“女子力の塊”。
と、普通は思うが、この子の場合は違う。
「これくらい?」
「ほり。俺“の”が減るからやらなくていい」
「はっ。しまった!!」
「やっぱ、お前のか......」
湿布といつ取り出したのか鋏を持つ彼女は、
佐久早の言葉を聞き、今度はハンカチを取り出す。
というか、大したことないので、
巻こうとしてくれた優しい手を制する。
そして、当たり前のように彼女の荷物として鞄に入っている
【応急処置セット=佐久早の潔癖セット】
について睨めば、当の本人は知らん顔で足早に歩いていく。
「あ、
「ほりちゃん、佐久早のなんだから持たなくてもいいんだよ?」
「いえ! いつ怪我するかわからないので!」
ほりちゃんがね、という言葉は飲み込む。
あいつもあいつだけど、
ほりちゃんもほりちゃんなんだよなあ......。
はあ、とため息をつくと、
おどおどしながら心配そうにこちらを伺う藍色の目。
それにふっ、と笑みを浮かべ、
俺たちも佐久早の後を追うようにまた歩き出した。
*episode4_二つの疑問→←*episode2_赤と青
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作者名:星蛍 | 作成日時:2020年3月31日 14時