〈３〉愛を運ぼう【夏油傑】

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 卵巣(らんそう)がん、子宮(しきゅう)がんの予防に改善(かいぜん)もするって言うし、ニキビや多毛(たもう)が改善もされる。副作用(ふくさよう)さえ気をつけていれば、オレからしたら得(とく)しか無かった。

 何より、母さんがオレを産んだ後に低用量ピルを飲み続けていたから、そういう事には詳(くわ)しかった。母さんも、今も飲み続けてる。

 オレは返して貰(もら)ったウエストポーチを開けて、小さな薬袋(くすりぶくろ)を手にする。低用量ピルを、万一(まんいち)すぐ出かけないと行けない時のためにウエストポーチに入れておいて良かったな。と思った。


 ウエストポーチと小さな薬袋を持って和テーブルの側(そば)に腰(こし)を下ろした。

 しばらくしてソイツがペットボトルの水とコップを手に戻(もど)ってくる。


「はい。これでいいかな」

「…ありがと」

 そう言って受け取ったペットボトルを開けてコップに水を注(そそ)ぐ。

 ソイツが和テーブルを挟(はさ)んで目の前に座った。

 オレは水曜日と縦(たて)に書かれた欄(らん)の２シート目から取り出す。


「それは何の薬なんだい？ 見た事ない錠剤(じょうざい)の感じになっているけど…」

「……訊(き)かない方がアンタのためだよ」

「私のため？ それは何故(なぜ)？」

 そのまま水で喉(のど)に流し込(こ)んだ。

「生理痛(つう)とかを軽くする薬だから」

 そう言えば、ソイツは目を見開いて。


「…すまない。デリケートな話だと思わなかったんだ」

 そう口にして、本当にすまない…と和テーブルに両腕(りょううで)と共に突(つ)っ伏(ぷ)してソイツは顔を隠(かく)した。オレはウエストポーチに小さな薬袋を戻した。


「別に。デリケートとかそんなの気にしない。アンタが気まずくなるかもと思って言わなかっただけ」

「忠告(ちゅうこく)を聞いておけばよかったね…」

「だから言ったでしょ」



 

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