〈３〉愛を運ぼう【夏油傑】

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「人のいるところでそういう話したくないので、人のいない今話してくれません？」

 そう言えば、ソイツは足を止めてオレを見る。


「――Aちゃんは、どうしたい？ 呪術高専来たい？」

「いいえ。絶対に行きたくないです」

「それは何で？」

「……死ねないからです」

 目を丸くするソイツに、――試してみます？ とオレは訊(たず)ねてみる。

「君もそういう系だってこと？」

 その言葉に今度はオレが内心で目を丸くする。


「君もって事は他にもいるんですか？」

「僕は最強だからまず死(し)ねない。反転術式も使えるからまず死(し)なないよ」

 コイツ、自分の事最強とか言いやがった。そう思いながら答える。

「とにかく、死ねないとか普通じゃないので恐れられても困りますし、それを利用されるような仕事って言うんですか？ そういう仕事をさせられても困りますし」

 何より、大学が終わるまでこの地域から離れるつもりは無いです。

 オレはそう話す。


「そうだったね。外国語学部だっけ？」

「……そういう情報どこから手に入れてくるんですか」

「僕にかかればそこら辺は何とかなるからね。君の見た目しか分からなかったから、ここまで辿(たど)り着くのに苦労(くろう)はしたけどね」

 苦労どころか辿り着いてくれなくて良かったわ。と心底思っていると、ソイツは続ける。

「ま、いいや。君の気持ちは分かったよ。後は任せて。――１つだけ確認」

「何です？」

「その呪霊は人に危害(きがい)を加えない？ それだけは大切な事だからね、確認」

「加えませんよ」

「ならいいんだ。あと連絡先交換して」

「これで終わりじゃないんですか？ また来るつもりですか？」

「一応(いちおう)ね。その呪霊の被害があれば自(おの)ずと報告が上がると思うけどさ。たまに見に来るから」

「……来る時は必(かなら)ず連絡してから来て下さい。突然(とつぜん)来られても困るので」



 

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