〈３〉愛を運ぼう【夏油傑】

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「……」

「寒くなると困るからね。少し秋を意識してみたんだ」

「それならパーカーとかないわけ？」

「１枚灰色(はいいろ)の物を入れておいたよ」

 オレはそれを聞いてカゴを漁(あさ)る。チャックの有るパーカーを羽織(はお)った。


「…これなら白い上を隠(かく)せるし、問題無いか」

「気に入ってくれたかい？」

「下が長いけど、これからの温度を考えればまあいいんじゃない？」

「それならよかった」

 オレはカーテンを閉めて次の服を取り出す。今着ている服を脱(ぬ)いでカゴに入れた。

 次の服は黒い７分袖(そで)の上に、ベージュのガウチョパンツだ。上は袖の先にフリルが付(つ)いていた。

「…アンタん家(ち)って洗濯機(せんたくき)あるよな」

 カーテンを開けてそう言えば、ソイツは笑う。

「無かったら洗濯できないじゃないか」

「だよな。…それ、オレも使っていいわけ？」

「使わなかったら服が足りないだろう？」

「だから確認してんの」

「大丈夫だよ」

「――じゃ、アンタの選んだ服でいいから会計頼(たの)むわ」

「浅上さんは選ばない？」

「パジャマ代わりにＴシャツとジャージの半パン買ったらそれで終わりでいいわ」

 そう言って、オレはカーテンを閉めて着ている服を脱ぐとカゴに入れる。そして自分の服を着る。

 胸元(むなもと)に白い英文字の書いてある紺(こん)のＴシャツを着て、半パンの黒いジャージをオレは履(は)く。

 カゴを持って靴(くつ)を履き、試着室(しちゃくしつ)から出た。


「Ｔシャツはそこらにあるけど、ジャージどこ。アンタジャージ見た？」

「あっちの方であったような気がするね」

「ちょっと行ってくるから」

 そう言い残して、オレは指(さ)された方に駆(か)け出した。


 

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