【H×H】純なる緋【クラピカ】 (ページ10)

今日:22 hit、昨日:42 hit、合計:75,924 hit

°８ページ10

夜も更け、梟が鳴き出した頃。

「や～っとついたぜ。」

「静かだな、我々以外に受験者は来ていないのか?」

私達は小さな小屋の前に立ち、中の様子を伺っていた。

どうやら此処に案内者、所謂ナビゲーターが居るらしい。

「試験があるのに、留守って事はないだろうけど…。」

うーん、と考えていると、レオリオが扉をノックし、ノブに手をかけた。

「おーい、入るぜー?」

「「「…!?」」」

＿小屋の中では、狐のお化け…?に女性が首を絞められている、異様な光景が待ち受けていた。

私達は一瞬で臨戦態勢に入る。
クラピカとゴンは森に逃げたお化けを追い掛けて行ってしまった。

残った旦那さんは奥さんを心配して、酷く狼狽えている。

…でも、私には少し気になることがあって。

心臓をバクバクさせながら、その疑問をぶつけた。

「…本当は、そこまで不安じゃ無さそうに見えるんだけど。何か嘘をついてない?」

緊張を悟られないよう、妻の身を案じて…いや、きっと芝居をしている旦那さんを問い詰める。

すると彼は、それこそお化けみたいにニヤっと笑った。

#

「＿さらに、鋭い洞察力を持ち、微妙な表情の変化で私達の演技に気付いたA殿。」

「君たち４人、全員合格だ。私が責任をもって送り届けよう。」

名前をキリコ、というらしいお化けさんは拍手をし、私達を一瞥する。

あの後、いきなりゴンの元にキリコ達が集まり、私達は合格を言い渡された。

…どうやら彼らの正体は魔獣一家だそうで、演技は私達を試すためのものだったそう。

やったぁ、とゴンと喜び合っていると、いつになく真剣な表情のクラピカが耳打ちしてきた。

「なぁ、A。」

「なぁに?」

「お前は只純粋に、奴の表情の変化だけで彼らの正体を見破った。
　…どうしてそんな、ゴンの様な芸当が出来たんだ?」

的を射た質問に一瞬硬直する。
…上手く答えるには、私のことを全部話さないと説明するのは難しいから。

「…うーん、私にも分かんないかも。女の勘、ってやつかな?」

全て話してしまおうか、それとも誤魔化そうか、と色々考えて、やり過ごそうと決めた。

…そう、話すのはまだ早い。

クラピカは何か言いたげだったが、"深追いはしない"とだけ言うと、レオリオの所へ行ってしまった。