°６ ページ8
船を降りた私達は、ハンター試験会場であるザバン市への道を調べるため、大きな地図案内板とにらめっこしていた。
「…本当に合ってんのか?」
見ろよ、とレオリオがザバン市の位置を指差す。
『…最後にわしからアドバイスだ。
＿あの山の一本杉を目指せ。それが試験会場にたどりつく近道だ。』
…でも、当のザバン市はあの山とは反対方向にあるわけで。
「わざわざ反対方向の山に行かなくても、ザバン直行便のバスが出てるぜ。」
「彼の勘違いではないのか?」
「でも、嘘をついているようには見えなかったけど…。」
私は船長を信じているんだけど、上手く説得するのは難しい。
「とりあえずオレは行ってみる。何か理由があるんだよ。」
ああでもない、こうでもないと議論している内に、ゴンはアドバイスを信じると決めたようだ。
でもゴンとは逆に、レオリオはバスで行きたがっているみたい。
「私はゴンに付いてくね。やっぱり嘘じゃないと思うから。」
決めた、と皆の顔を見回す。
すると未だ迷っている様子のクラピカが気になって、私は彼の袖を少しだけ引っ張った。
「一緒に行こうよ、クラピカ。」
「…そうだな。私もそうさせて貰おう。」
彼は数秒考えた後、どうやら決意が固まったらしく、勢い良く顔を上げる。
今度は逆に彼が私の袖を引っ張り、すたすたと先に進んでいった。
「おいクラピカ、お前もか!」
「レオリオも来ない?」
「俺はお前らほど馬鹿じゃねぇんでな。
じゃーな、短い付き合いだったけど元気でな!」
引っ張るクラピカのせいで覚束ない足取りのまま後ろを振り返って聞くと、レオリオは吐き捨てるように叫んだ。
「レオリオ大丈夫かなぁ。」
「心配ない、また会えるさ。」
「そうだね、会場で会えれば良いね。」
数十メートル先のゴンを歩いて追いながら呟くと、クラピカは私の不安を落ち着かせるように言ってくれた。
「あとクラピカ、歩きにくいよ…!」
「…ああ、悪い!」
彼が袖を引く手を離す気配が無かったので小さく抗議すると、彼は忘れていたらしく素直に離してくれた。
そうしていると、先を行くゴンが振り返った。
「あれー、結局二人も来たんだ!早く早く!!」
「ああ、ちょっとな。」
「うん、今行くね!」
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
