°５ ページ7
「三度目だぜ。」
先程の発言がレオリオの琴線に触れたのか、彼はクラピカをキッと睨む。
…場はまさに一触即発。
「表へ出な、クラピカ。薄汚ねぇクルタ族とかの血を絶やしてやるぜ。」
「…取り消せ、レオリオ。」
クラピカも睨み返す。
「レオリオ"さん"だ。」
甲板に出ていく二人を船長が引き留めるが、二人は聞く耳を持たずにズカズカと進んで行く。
「放っておこうよ。」
いきなり口を開いたのはゴン。
「どうしてそう思うの?」
ゴンが何だか大人びて見えたので、興味のまま話し掛けた。
「"その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるか知れ"
…ミトおばさんが教えてくれた、オレの好きな言葉なんだ。」
「オレには二人が怒ってる理由は、とても大切な事だと思えるんだ。無理に止めない方が良いよ。」
何処か遠くを眺める彼の言葉に、船長も気圧され気味で頷いた。
「凄い人なんだね、そのミトさんって。」
私も会ってみたいなぁ、と呟くと、ゴンは嬉しそうに笑った。
「そうでしょー、オレの自慢のおばさんなんだ!」
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船長が荒々しく開いたドアの先に見えたのは、狂ったような海模様と、甲板で火花を散らす二人。
船は転覆寸前で、私も何かしなくちゃ、と船員の元に向かおうとすると、絶叫が空間を切り裂いた。
「カッツォ!!!!」
パッと後ろを振り向くと、そこには船から落ちかけている船員が一人。
…不味い、溺れたら生きて帰れない。
考えるより早く私の足は動いていて、急いで彼に手を伸ばす。
＿最終的に、カッツォさんの右腕をゴン、左腕は私が、更に私とゴンの足をクラピカとレオリオが掴む体勢になった。
そのあと何とかカッツォさんを引き上げたは良いものの、私とゴンは二人に叱られてしまった。
しゅんとしてしまった私に反して、「でも掴んでくれたじゃん。」と平然としたゴン。
「ふふっ、確かにクラピカとレオリオ…さん、も手を伸ばしてたもん。」
そうだよね、と吹き出してしまうと、二人も同じ様子で、直ぐに打ち解けてしまった。
「非礼を詫びよう、レオリオさん。」
「水くせぇな、レオリオで良いよ。…クラピカ、あとAもな。」
「うん、ありがとう皆。」
えへへ、と笑ってゴンとグーを合わせる。
「良かったね、A。」
「うん、ゴンの言った通りだったね。」
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
