幕間：ちょっとした悪戯心 ページ49
ポンズside/episode 22 〜 23
成程、この子がねぇ、なんて思った。
何処か抜けているけれど、それでいて爛々とした目の子。可愛らしいって言うのかな。
タワーの頂上から降りてきた姿を見た時は、頼りなさそうに感じたのだけど。
｢ねぇ、ポンズは何回か試験を受けてるの?｣
｢えぇ、そうだけど…なんでそう思ったの?｣
こうやって話してみると、芯があって、でも危なっかしくって。
…もし姉妹がいたら、こんな感じだったのかも。
私は、力がある訳でも無くって、そんなに強くない。
なのにハンターになろうだなんて、自分でも変わってると思う。
｢ねぇ。アンタはどうして、ハンターになりたいの?｣
ふと疑問に思って問いかけた。
するとAは、うーんと口元に手を添えて。
｢ある人に認めてもらいたいの。それにはハンターにならなくちゃ駄目みたいで。｣
｢苦労してるのね。｣
私が思った事をそのまま言うと、彼女は"まぁそれなりにね"と微笑んだ。
｢そうだ、ポンズはどうしてハンターになりたいの?｣
そのままずいっと私に顔を近付け、目を輝かせて聞いてくる。
教えてあげても特に不都合はないけど、私の悪戯心が不意に顔を出してしまって。
うーん、と考える素振りをしてから、私は人差し指を口に当てる。
｢良いわ、それはね…。｣
｢うんうん!｣
｢…ふふっ、秘密。｣
"ええーっ!?"と残念そうにする彼女を見ていると、可笑しくなってしまって笑った。
｢でも、アンタも合格出来たら良いわね。…一応私達、ライバルだけど。｣
｢うん、頑張ろうね!｣
グーを交わして、にこっと笑い合う。
…この子も大概、変わり者なのかもしれない。
#
｢…あら、やられた。｣
4次試験終了後。目覚めた私は、手元にプレートがないのに気付いた。
…ああ、あの4人か、と直ぐ理解して体を起こす。
あの子と最初にあったのはいつだっけ。
トリックタワーの時だから、丁度1週間前かしら。
私のプレートを取ったということは、あの4人は全員4次試験を合格出来たと見ていいだろう。
｢最終試験じゃない。…どうせなら受かりなさいよ。｣
きっともう合格者を乗せた飛行船は行ってしまった筈だ。
だから、この呟きも聞こえている訳無いのだけれど。
…私は帽子を被り直すと、探しに来た委員会の元に進んで行った。
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
