°３８ ページ40
｢ゴン!?｣
私の絶叫が空間を切り裂いた。
ゴンに変わって、レオリオの右肩を持ったクラピカが私に言う。
｢解毒剤を探しているんだ。わざわざ罠を張るなら、持っている可能性は高いからな…それでも危険な賭けだが。｣
｢でも、もし無かったらゴンにも毒が…。｣
｢だから言っただろう、賭けなんだ。｣
そうしている間にも、ゴンの体に蛇は容赦なく噛み付いている。
ポンズもゴンの精神力に驚いたのか、目を見開いていて。
神様に祈るような気持ちで、私も蛇の群れを見つめる。
…すると、歪なシルエットが大きく蠢いて、それから嬉しそうな声が響いた。
｢あった!!!｣
素早くクラピカは薬瓶を受け取って、レオリオに解毒剤を注射する。
私は直ぐにゴンに駆け寄って、倒れ込む彼の体を支えた。
私にお礼を言うと、苦しそうに息を切らしながら彼はポンズに声をかけて。
｢ねぇ…睡眠ガスって持ってる?｣
｢あるにはあるけど…全ての蛇を眠らせるには、少なくとも5分以上かかるわよ。｣
｢じゃあ大丈夫だね。オレの息止めの最高記録、9分44秒だもん!｣
クラピカに注射をしてもらうと、ゴンはゆっくり伸びをする。
それから私達に、彼は自信たっぷりに親指を立てた。
｢信用して!!必ずここから連れ出す!!｣
ポンズはそんなゴンの様子を見て、"まぁ、このままじゃどの道不合格だしね"と呟くとガス缶を手に持つ。
するとゴンは大きく息を吸い込んで、ポンズに合図した。
…そしてポンズは催眠ガスを噴射する。
数分経つと、私の意識も遠のいていった。
#
目を開けると、視界いっぱいに青空が広がっていて。
そういえばガスで眠っちゃったんだっけ、と思い出す。
｢おはよう、A!｣
まだ覚めない頭で辺りを見回すと、ゴンは釣竿を掃除していた。
｢おはよう、ゴン。…ありがとう、連れ出してくれたんだね。｣
クラピカとレオリオはまだ起きていないらしくて、隣に横たわっていた。
ゴンは私の言葉を聞くと、目を伏せて答える。
｢ううん、オレなんて全然…。プレートを取れたのも、自力じゃ無かったから。｣
彼の言葉で、獲物のプレートを獲得する時に何かあったんだと気付く。
ゴンに元気を出して欲しくって、私は2次試験でクラピカがしてくれたみたいに彼の両手を強く握った。
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
