°３０ ページ32
inゼビル島
２時間程かけて、船は島に到着した。
島へはトリックタワーを脱出した順に進めるとかで、私は１８人目。
最初に降りていったヒソカの背中をちらりと見る。
「私が行ってから皆が来るまで、ちょっと空いちゃうね。」
「最初に行ける方が便利だよ、待ち伏せも出来るからな。」
クラピカがそう分析する。
待ち伏せしようにも、８９番が誰か分からないのが悔しい。
…まずは８９番探しから始めようかな。
#
「それでは１８番の方、どうぞー!」
少ししてから私の順番になった。
クラピカと別れて、島へ入って進んでいく。
＿すると５００mも歩かない内に、目の前に突然ヒソカが現れて。
「やぁ♧待ってたよ♡」
「…もしかして、私が獲物なの?」
じりじりと後ろに下がる。
だけどヒソカは、笑顔を崩さずに私に答えた。
「んもう、そうじゃないよ◇
…ただ、ちょっと手助けしてあげようかなー、なーんて♡」
あまりに予想外の発言に、私は目をぱちくりさせる。
「キミの獲物の番号…８９番だろ♧
探してるんじゃないのかい?」
彼は指先でトランプをくるくると回して、ピタリと言い当てた。
確かに８９番、間違いなくそうなのだけど、言い当てられたことに私は益々混乱して。
「そ、そうだけど…。何で知ってるの?」
「やだなぁ、マジックの種明かしなんてナンセンスだろ♡
…それよりボク、８９番が誰か知ってるよ♤」
棚からぼた餅、ってこういう時に使うのかな。
８９番が分かるなら、私には願ってもないことで。
"教えてあげようか?"なんてヒソカの問い掛けを、断る訳がなかった。
「８９番はね、シシトウっていう髪の長い男の人◇」
はい、と彼は私にお手製の似顔絵を渡す。
大体の特徴を掴んで、私はその絵を懐に仕舞った。
「…ヒソカって、結構絵が上手だよね。」
「そうかい、ありがとう♤結構自信作なんだ♡」
…本当は、'なんで８９番を知ってるの'とか、'どうして教えてくれるの'とか、まだまだ質問は沢山あった。
でも、それも彼からすればナンセンスなんだろうと言葉を飲み込む。
かわりに絵を誉めると、彼は思いの外嬉しそうで少しびっくりした。
「じゃ、ボクもう行っちゃうね♡
あとはAで何とかすること◇」
「うん、頑張るね。…課題も待ってて。」
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
