°２４ ページ26
クラピカside / inトリックタワー
｢それにしても、Aは今頃何してるんだろうねー?｣
レオリオの賭けの負け分50時間を、用意されていた部屋で払っている所。
ゴンが唐突に口を開いたので、私も頷いた。
｢ああ、些か不安な気もするが…恐らく大丈夫だろう。｣
｢でもさ、あいつだけ他の道なんて運わりーよな。｣
にしし、とキルアが笑って言った。
確かに、あいつだけが私達と別れてしまったのは、少々不憫な気もする。
私達のように足止めをくらっていなければいいが、と私は溜息をついた。
するとキルアは、"あいつ鈍そうだもん"と腕を組んで転がる。
Aが可哀想だよ、とゴンのお説教をくらうキルア。
｢あの嬢ちゃんか?確かに戦闘向きじゃなさそうだもんな。｣
｢おめーにゃ関係ねーだろ、余計なお世話だぜ。｣
トンパが話に加わろうとすると、レオリオが遮る。
何だと、とトンパが言い返すと、レオリオも負けじと言葉を返して。
2人のせいで騒がしくなって来たので、私は本棚から適当に本を取り、彼らとは離れて座った。
…けれど活字に目を通そうとしても、先程のゴンの台詞が頭に浮かび上がってきて。
集中出来ずに読書を諦め、私は本をぱたんと閉じた。
柄にもなくAは無事だろうか、なんて考えながら壁にもたれかかる。
そのまま目を閉じて静かにしていると、不意に私は呟いていた。
｢…だが、やはり心配だな。｣
思わず出てしまった台詞に、自分でも驚いた。
私の声が僅かに聞こえたらしく、ゴンが不思議そうに首を傾げる。
｢クラピカ、何か言った?｣
｢ああ、いや、独り言だ。｣
誤魔化して、私は今度こそ読書を始める。
すると何故だか、先程の雑念が嘘のように集中出来て。
夢中になって読みふけっていると、私はそのまま、知らず知らずの内に眠ってしまった。
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
