°１９ ページ21
｢ダメ!ネタの切り方が悪い!!｣
ハンゾーのせいで作り方がバレてしまって、私達は純粋なスシの美味しさだけで勝負することになった。
私も持っていったんだけど、熱くなったメンチさんからは中々合格を貰えなくて。
｢悪い、お腹いっぱいになっちった!｣
…とうとう合格者0のまま試験は終了してしまった。
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それから会長の鶴の一声で、私達は試験をやり直せることになったんだけど…。
｢本当にここから落ちるの…?下、見えないけど…。｣
その内容は、崖からダイブして卵を取り、そのまま這い上がってくる、というとても過酷なもの。
｢何だ、ビビってんの?｣
にやけるキルアに頬を膨らませていると、クラピカが背中をさすってくれた。
｢大丈夫だ、幸いこの崖は脆くはない。つまり、卵を取れさえすれば安心していいということだ。｣
｢今のクラピカ、ちょっとお母さんみたいだね。｣
思ったことを口にすると、彼は私の両肩を揺さぶった。
｢なっ…私はお前を元気づけようとして言ったんだ!｣
｢ピッタリだと思うぜ、クラピカさんよ!｣
茶々を入れるレオリオを、きっと睨むクラピカ。
｢まー、いざとなったらオレが看病してやるから、お前ら安心して飛べよ!｣
レオリオが元気に言う。
…何だかんだで頼りになるんだよね、レオリオって。
｢だけどさー、オッサン金取るだろ?｣
すかさず突っ込んだのはキルア。
どうやらレオリオは、もうオッサン呼びで決定してしまったらしい。
｢じゃあ皆、オレ先に合格しちゃうからねー!｣
先陣を切って飛び込んだゴン。
｢ずりーぞゴン!オレが先だかんな!!｣
続いて第2号、キルア。
レオリオも2人を追いかけて行ったので、崖には私とクラピカの2人きり。
｢相変わらずだな、あいつらは…。
じゃあ私達もそろそろ行こうか。｣
そう言うとクラピカは私の手を握り、ぎゅっと力を込めて、暫くすると離した。
｢余計な不安は失敗の元だからな。これで幾分か楽だろう。｣
優しく笑う彼に、何だか勇気づけられる。
｢ありがとう、クラピカ。よし、今度こそ行こう!｣
そう言うと、私達は崖を飛び降りた。
#
その後皆と食べたゆで卵は、今まで食べた事ないほど美味しかった。
…思わず笑みを零してしまって、又レオリオに揶揄われたのは忘れたい。
〖二次試験終了：残り42名〗
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
