流転と夢幻

30　俺が、（五条side） ページ35

「そういえば、さっき虎杖に嫉妬してただろ」


Aと別れたあと
硝子が馬鹿にしたように
ハッと鼻で笑いながら言ってきた


「ウルサイよ」
「10以上歳が下の男の子にも、か。
見苦しいぞ」
「いや、あんなの嫉妬するでしょ」


Aにあんな笑顔で、しかも上目遣いで
“おかえり” って

羨ましすぎるっつーの


「お前がもっと真面目に、真剣にアタックすればAも少しは振り向くかもしれないぞ」
「そうだね」
「そんな中途半端な態度だと誰かにとられるぞ」
「はっ、それは絶対ない。100パーない」
「なぜそんなにはっきり言いきれる」


決まってんだろ


「Aに釣り合う男、僕以外にいる？」
「釣り合う、釣り合わないはお前の、一個人の意見だろ。大事なのはA が 誰 を 好きになるかだ」
「Aは絶対 僕 を 好きになるよ
今は僕を好きにならないようにしてるだけ」
「はぁ……もしAが別の誰かを好きになったらどうする」
「万が一、いや億が一Aが他の誰かを好きになったら

日本がなくなっちゃうかもね___」
「…………」
「冗談だよ」
「冗談に聞こえなかったんだが？」
「僕が今、本気出して惚れさせても
Aはホントの気持ちを押し込めるだろうし
それはAを苦しめるだけだ
まずはAにかかった ”呪い” を何とかしないと」
「お前……」
「僕はどうでもいいんだけどね。一切気にしてない。けどAは違うでしょ
絶対に無駄な負い目を感じる」
「子供……か」
「僕が御三家なんて面倒な家に生まれてなければ、もう少しマシだったかも」


後継が〜とか相伝の術式が〜とか
面倒なことは気にしなくて済んだ


「なるほど。意外とお前もちゃんと考えてたんだな」
「失礼だね、Aの事なら四六時中考えてるよ」
「キモチワル」
「冗談だよ。まぁ、何にしても呪いを解かないと僕らの ‘青春’ は始まらないわけだ」
「で、解呪方法は？」
「そんなの分かってたら今頃、Aと結婚して幸せな生活を送ってるよ」
「未だ手掛かりなしか」
「なんせ何百年も前から続いてるやつだしね。ありとあらゆる資料引っ掻き回したけど何もナーシ」


御三家、高専、その他もろもろ調べたが一切ない
少しは何かあってもいいはずなのだが……


「手強いな」
「ホント、最強の手をこんなに煩わせるとは」
「まぁ、せいぜい頑張れよ」
「言われなくても」


彼女の呪いは必ず祓う

そして______








「……誰にも渡さないよ」





　

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