５話 ページ7
「じゃあ、私たちはもう行くよ。あの日にお前たちに出会えて、今日まで共にいれて楽しかった。次会うときは、お前が海賊王になる頃かな。」
「そういうAこそ諦めてないくせにか？」
「......気が向いたら、旅を再会するよ。あれだ。私が海賊をやめたりしたら、その時はこっそり私に宝がどんなものか教えてくれ。正直めちゃ気になる。というか、確定でやめるだろうなぁ。」
ランが抱えるそれに、目をやる。息子だ。一度はレイナと名付けられたが、自分の本来の名前をやるのもどうかと思うし、そもそも女の子っぽい名前という理由でいじめられる可能性も高いため、まだ名前のない息子。
彼を産んだのは紛れもない彼女自身だ。どんな経緯であれ、父親がスレットであるということも事実。海賊でいられない理由が揃いすぎた今、彼女はどこか人の目につかない場所で皆と共に暮らす場所を探すしかない。何となくだがその理由も察したルフィは、どんなものかはたぶん教えないと言う。
その代わり、海賊王の宝は確かにあったということを伝えると。
「優しいな、お前は。その言葉を聞く日が訪れることを、お前たちの旅路に幸が訪れることを祈る。私は死者たちを何人か連れて、海軍本部に行くことにするよ。それじゃ、生きてたらまた会おう！」
遠い未来、案外すぐかもしれない未来の約束を交わし、それぞれの旅路につく。ボニーはルフィにある島へ送ってもらうために、Aたちは海軍とお互いに話し合うために。
無論条件は提示するが、それは海軍も同じことだろう。どれだけ厳しい内容だろうが、誰か一人が犠牲になるような条件を提示されたなら飲み込まず、許容範囲の条件であれば手を組む。コビーとヒナの両名と通信してから音沙汰はないものの、レイナの状況を考えればあまり悠長にしていられないと判断。
スレットがテゾーロより渡された永久指針を元に、海軍本部を目的地として出航する。
......彼女らが出航して、間も無くのことだった。海賊王を含めた死者たちは、唯一行動を共にしたロジャーを見送り、黄泉の国へ戻るまでどうしようかと悩み始める。
「悩むまでもないだろ。お前たちはな、リリーの餌になるんだ。まあ一度吐き捨てたものを胃の中に戻すだけのようなもの。リリー、強くなったお前の力を見せてやれ。」
「いただきまーす！」
ばくっ。
むしゃむしゃ。
ごっくん。
皆は美味しくいただかれました。
「ごちそうさま！」
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
