４８話/怪物は騎士を食らう ページ50
何度食われようが、生きて刃を振るう騎士。その騎士は少し前、祖母と名乗っていた女にこう言われたそう。
私は死なない。何故なら、代用できる命があるから。
その瞬間に目付きを変え、周囲に手を出すなと命じ、朝日が上った現在まで休むことなく、攻め続けている。体という部品を失おうが能力で再生させ、確実に不死を名乗る女の命を削っていた。
何時間経過したかも分からぬ頃だろうか。いつ巻き込まれるかも分からず、常に気を張り続けていた多くが疲れはて、常に訪れる衝撃波に体を震わせるばかり。それでもと、強き者はその衝撃に挫けることなく、武器を持っていつでも戦えるようにと構えていた。そんな時だ。
勝敗を決したのは、突如姿を現した革命軍の参謀が行動を起こしたとき。彼の足が切り飛ばされるも、少女に託されたものをカンヌの口内から喉奥まで突っ込み、途端に顔が溶け出していくカンヌ。それを勝機と見たレイナの拳がカンヌの腹を貫いた。
それは、誰の目から見てもレイナの勝利と思えるものだった。
「......足ならくっつければ治せる、私の血を潜ませた。だから早く消えろ。」
「ありがとう、レイナさん。」
レイナが革命軍を逃がしたという罪よりも、ようやくカンヌが負けてくれたという喜び。それ以上に不安を抱えた者もいただろう。どうしてレイナは仮にも協力者である海軍を、その場で待機させたのか。確かにあの戦いに混ざれば即死、最悪状況が悪化しただろうが、中将クラスだけでも戦わせることはできなかったのかと。
まだ息のあるカンヌが笑い出す。レイナがトドメに踏み潰そうとしたときだ。
「なあ、私の代わりに死んだ子供らは、お前が代わりに処理してくれるのか？」
ドシャッ。カンヌだったものが浜辺に散らばる。
その発言は、心優しき者を挫かせるに足りるものであった。
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
