47話 ページ49
「ふふっ......魂は確かに、自分の物だ。意識もある。なのに皮は雑に縫われただけか。いや、それだけで足りる。なあ、二人とも。お前たちはもはや再起不可能な状況であったにも関わらず、希望もなかったというのに、どうして偽りの希望を託して私を産んだ?嫌がらせのつもりなら、死ぬ前にお前たちも殺してやる。」
両親は表情を崩さずに、張り付けたような笑顔で答えた。
もしあなたが奇跡を起こしたなら、都合の悪いものは全部捨てて、愛してやるつもりだった。たったそれだけのことだよ、と。
それに落胆するわけでもなく、Aは安心したように笑う。
「......んだよ。本物なら、下手に笑うんじゃねぇ。それが聞けてよかった。やっぱりお前らは最悪で、最低で......思い出に残す価値のある、親だった。」
この世に蘇り、人を大勢殺し、祖母に慣れないことの実験台として利用されるも、一度定めたものを裏切らずに二度も生きることができた。一度だけ迷いはしたものの、その一度を乗り越えることもできた。普通の人間が送るような人生を、少しは送れたことだろう。
復讐を果たせなかったことだけは心残りだが、他に未練はない。これまでの人生で心の底から笑うことすら許されなかった彼女は、ほんの少しだけ笑みを見せ、ゆっくりと目を瞑った。
途端に彼らの体は急激に崩壊し、そこには三人分の土が残っただけ。黄色い花は、まだ無邪気に笑っている。
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作者名:御法川 | 作成日時:2024年2月19日 3時