王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ44)

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４２話ページ44

「......あ？れいな？」

ドシャッ。生気のない人体が地に倒れる。カンヌはそれに目もくれず、続いてAの心臓を撃ち抜いた。ただ呆然と見ていた三人の体は震え、動かない。少しずつ近付いてくるカンヌの脅威に、心が負けている。怯えている。というより......互角に戦っていた人の死という事実を、脳が拒んでいた。体を動かす余裕が全くないほどに。
スレットは思い出す。どちらを救うかという問いを。......そもそもの話、どう救うのか。脳を撃たれれば人間はまず助からない。生きていたとしてもヴィアのような状態になるか、奇跡は起こらないと言い渡されるか。
心臓は、分からない。
こんなことでしか選べない自分が気持ち悪いと感じてきた頃、喉元に違和感を感じ始めた。三人の首が切られたという事実に気付くのは、カンヌに銃口を向けられたその時。
この時初めて、彼らはようやく実感する。この恐怖を乗り越えなければ、そもそもカンヌに挑む権利すら与えられないということを。これからカンヌは、浜辺にて待機する海兵も殺すのだろうということを。

「後で迎えに来てやるよ、二人とも。標本になろうとも、私が隅々まで愛してやる。私の気が変わるまでな。」

............
こんなところで、俺たちは死ぬのか。何も成せないまま、ただ家族が死ぬのを眺めただけで。
彼らが喪失感と無力感に圧し殺されるのは、言うまでもない。

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