王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ43)

今日:1 hit、昨日:38 hit、合計:395 hit

４１話ページ43

狂人を自称するだけのことはある。レイナは覇王色を我が物としていた。
王の資質を持っていたAがその肉体を長く使った影響か、それともレイナの何かが変わったのか、彼女は拳に色をまとい、それを絶やすことなく常に攻撃を続ける。カンヌもまた同じ色の持ち主だったのか、常に覇王色が衝突し、周囲の空気が震えている。
やはり自分の見立ては正しかった。余分なものを捨てたレイナこそが、その力を得るに相応しかったと、嬉しそうに笑うアンデルセン。いつの日か、ようやく彼女と対話が叶った日を思い返す。

「僕は君に可能性を感じている。君ほどの女性に覇王色がない？そんなの時間の問題だよ。君はこの先何かを得るか、捨てたときに力を得る。よく言うじゃないか。人は守るものが増えたとき、または守るものが消えたときこそ、本領を発揮すると。」
「本物のAにインタビューしてくれ、帰る。」
「まあまあ。僕はずっと、君のような女性を待っていたんだ。そんな僕の願いぐらい叶えてくれよ。神と呼ばれるに相応しいカンヌと、神の資格がある君の最高の戦いが見たいんだ。」

そんな端からすれば意味の分からない対話。彼は覇王色を持つ者を神と称し、常日頃から彼らの戦いを眺めたいと言っていた。今日、彼の願いはとうとう叶う。歓喜のあまり体が震え始めた彼を目障りに思ったのか、カンヌの銃弾が彼の肩を貫いた。
しかしそれに動じず、その景色を脳にまで刻もうと見つめ続ける。
カンヌがもう一丁の拳銃を取り出し、即座にレイナに三発撃ち込む。それらをすべて噛み砕き、もう隙は見せんと言わんばかりに錆びた槍で攻め続ける。あの槍もおそらく、この地に落ちていたものだろう。
錆びていようがなんだろうが使いこなす。近代兵器でさえなければ、すべてレイナの手駒。その器用さには誰もが驚かされてばかりだが、彼女の強さはそれだけではない。覇王色に目覚める前からずっとレイナは、新世界で生き抜くための強さを持っている。

「アンデッド！レイナを殺して、私の孫を取り返してこい！！！」
「お前から捨てたくせにか？何度リリーに頼っても意味がないって言ったろ。」

物理攻撃の通じないアンデッドの首を軽くねじ曲げ、それでも死なないアンデッドは頭部を潰す。次々と産み出される死人の軍隊を薙ぎ払い、ついにはその槍でカンヌの頭部を突き刺した。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿だが、カンヌは何故か死なない。その怪しい笑みで、的確にレイナの脳を撃ち抜いた。