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４０話/行き先のない人生 ページ42
「......スレットさん、結構酷いことしてますね。好きな子に軽く小突いてる程度かと思ったら、どう考えても犯罪ですよね。」
「処刑になってもいい。今は俺の脆いメンタルを崩すな、コビー。」
「分かりました。ぶっちゃけ、僕もちょっと限界なんですよね。元帥と言い合いになりそうでした。......それじゃ、Aさんにも一緒に来てもらいましょうか。レイナさん、必ず連れ帰りましょう。」
スレットの右足は回復の兆しを見せるものの、完全回復までまだ遠く。ヴィアはその兆しすら見えない。ランは家族が無事生きて帰ることを祈るばかりで、ロジャーは船長の大事な子供とヴィアを見守ることしかできず。肝心の頼みだった海兵は裏切り、コビーはここしばらくのストレスで心が一度砕けた。味方になるものはほとんど役立たずの道具にも等しい状態でも、他に行く先がないからとスレットは進む。
その姿に不満そうな表情を浮かべるAは、一人で先に走りだし、それをランが追いかける。スレットはどうしてか能力も使わず、頑なに使おうとしなかった松葉杖を使っていた。その様子にどうしたのかと聞くコビーに対し、スレットは能力が使えなくなったと、どう聞いても重大なことを吐く。
神様からの天罰なんだろう、もう諦めた。
そう言う彼から目を背けたコビー。背けた先は、森の出口。出口より先からも音は響いてくる。金属音がぶつかり合う音と、高らかに笑う二人の女性の声。その声に彼らは聞き覚えがある。こちらに敵意の眼差しを向けたレイナと、裏切りの海兵の声だ。
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
