３７話 ページ39
獲物を逃さず、捉えたそれを見逃さず、それが気付いた頃には時既に遅し。四方八方から刺されるような強烈な痛みと共に、Aの動きが止まる。やっぱりと言うレイナの一声、血を吐き出しまともに喋れないA。それの正体に気付いたのは、長らく彼女の体の変化を見守り続けた家族だけ。
「薬の過剰摂取の症状......レイナが飲んだ薬は、やはり危険物ばかりでしたか。」
「そんな体で逃げ回れるわけもないもんね。頭もくらくらして、心臓はすごく煩くなって、早く次を飲んで楽になりたいって思うようになる。そんな体で復讐もできるものじゃない。どうして私に協力しようとしたのか知らないけど、とにかくおとなしくして。私の体、楽に返してもらう。」
レイナがアンデルセンと呼ぶと、ようやくでばんをもらえたと嬉しそうに姿を見せる作家。彼が抱えていた本を開き、何語か分からない言語の詠唱を始めると、途端にAとレイナは白目を剥いて倒れる。二人が倒れたのを確認し、続いて通常言語で詠唱を始めた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿神より与えられし器に、汝らの魂の資格無し。よって汝らに罰が下される。Aは己を確立させる能力とその意志を剥奪するものとし、レイナには剥奪したそれらを与えよう。汝、復讐者として再びこの世に産まれ落ちん。汝、無垢の子として再びこの世に産まれ落ちん。
勢いよく本が閉じられる。同時に彼女たちの体がピクリと動き、多くの者が少女に駆け寄ることだろう。
「レイナ！スレットだ、わかるか！？」
「......ムカつく顔が見える。レイナじゃない、Aだ。レイナはあっち、今から私どもを殺しに来る方だぞ。」
「......は？」
起き上がった瞬間、Aだったはずの肉体は血の刃を手に、髪の刃を作り出し、彼らに切りかかる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
