３４話 ページ36
弾丸の元はAが調べる、自分は早い段階で崩れた心を元に戻す。そういうことで話は終わり、僕は軍艦に変える前に薬を飲んだ。視界は先程より澄んでいるようで、こちらを呼ぶ声がする方向に目を向けると、そこにはいつも通りの皆の姿と、わかりやすく怒りの態度のスレットさん。
僕らのせいで彼らの家族の一人が、この島のどこかに消えた。責任感はある。罪悪感も。想定外の状況だったとはいえ、間違いなく彼女を傷つけたのは僕たちだ。怒られる覚悟も、殺される覚悟もできてはいるが、二人の息子が不幸にならない結果にしようと心に決める。それはレイナさんとスレットさん、他の皆も生きている世界。誰にも害を与えられることなく、子供も自分なりに育つような世界。
甲板に戻れば、僕の顔を見て苛立ちが頂点に達したのか、殴りかかってくるスレットさん。当然皆がそれを止めたけど、別にあそこで殴られても文句は言わなかった。すぐに彼を抑えるのを止めさせ、改めて話し合おうと提案する。
......何から信用して、何から切り落とすべきか。
問題の中心点はそこだ。彼は真っ先に、上層部全員を切り捨てろと言ってくる。当然その意見には賛成......したいところだが、彼らは相応の実力も備わっている尊敬する上司だった。私情で切り捨てていいのかと迷いもした。
「コビー大佐。我々は大佐が来いと言えば、すぐにでも行こう。それまでの待機だろう？」
「......元帥も、変に介入しなければいいんですが。」
「おかげで私の娘も、私たちも海軍には失望しましたからね。とっとと話を進めてください。スレットが苛立って、あなたたちを殺すかもしれないので。」
急かされたのもあったが、彼らがそれをよしとしたこともあって、この案は決案される。次に来てもいいが会話はしない、息子にもヴィアにも一生触れさせないと言われたが、さすがにそれは医療技術の提供などが厳しくなるため、どうにかして却下させた。
今さら助けるなんて、どの口が言うんだと小さな声も聞こえてきた気がしたが、この気持ちに嘘偽りはない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
