３２話/思い上がるな ページ34
「......この作戦の指揮はすべて僕に委ねられたと、そう聞きました。なのに、ほとんどは元帥の指揮下にあった、と。そんなに僕が、本当の彼女が信じられなかったんですか。元帥。」
誰と会話しても、その声はノイズにしかならなかった。幸い言語は理解できるが、言葉の意味まで理解はできない。だって、本当に分からないじゃないか。委ねられたものなど一つもなかったと知って、自分自身に失望するに決まってる。
僕は■■■■になる男です。
そう言ったあの日の自分を重ねると、余計に惨めになる。多くの人を守れたらと願っていたのに、一人の少女の信頼が消えた。僕は、誰かが救われて、自分の生活に戻れて、たまにでいい。僕たちの姿を思い出して勇気付けられてくれるのなら、それでいいと思っていた。心が折れてしまいそう。
......今、話しているのは誰だろうか。僕はここまで心が弱い人間だったのか、それともあのハチノスで最悪なほどに叩きのめされたからなのか。今、全員が肉塊に見える。
「ヒナは確かにあの子とは仲良くしていたけど、上の命令だった。従うのは必然よ。......聞いているの？」
ヒナさん？こんなおぞましい肉塊が？
察した。僕は今、正常ではない。だからよりリアルに、鮮明に、カンヌさんの声まで聞こえている。僕は先程二人でいた部屋で、自分の目を閉じた。自分の耳を枕で塞いだ。
それでもしつこい。墓地に来い、墓地に来いと、その声は何度も何度も僕の頭に響いてくるのだ。
「......クソッ。こんなものに、惑わされるなんて。」
誰かもわからない肉塊に頭を下げ、僕は一人、墓地へと向かった。そこまで来いと言うのなら行って、先にこの手で捕まえる。その間に冷静になって、もう一度レイナさんと話し合えばいいじゃないかと。
「でも、なんで声は僕をこ」
「声真似も案外上手かっただろ？大佐。」
「は？」
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
