３１話 ページ33
「......今のが銃弾かぁ。だいぶ遠いところから飛んでくるなって思ったけど、違和感がある。今の銃弾、一瞬見えたけどあれは拳銃専用だ。ただの拳銃で、この島ではないどこからか性格に狙い撃つのはおかしい。」
「今の一瞬で分かるんですか！？」
「冷静になれば見えるものなんだよ。弾の到達まで時間はかかったし、相手は勘か、私が外に出るのを想定していたんだろうね。別の人はありえない。だって、発砲時間を推測しても、その時間帯から今まで私の傍を定位置にしていた人はいなかったから。ねぇ、コビー。これ、海軍がやったんだよね？」
戸惑う。周囲を見渡せば、困惑する海兵らと目を逸らす上司と同僚に分かれていた。彼らの態度を見て把握した。
同盟はまだ、全員に認められたわけじゃない。海賊を憎む海兵のため、プライドのため、はたまた金のためか。彼女が油断しきったところで狙い撃とうという選択をしたのだろう。レイナさんも何も知らなかったと言うが、すべてを知っていたような顔をしていた。
「ぼ、ぼくっ、違う、僕は」
「そうだね。コビーは何も悪くないよ。コビーは元上司の凶行を止めたくて、その孫という立ち位置にあった私と手を組んだだけ。でも、周りは最後まで納得しなかったみたい。......ここまで送ってくれてありがとう、コビー。」
「え？」
「仲間たちには、何も伝えないでくれるかな。彼らは約束通り保護してあげて。私一人で、過去の因縁に決着をつけてくる。例え私が私じゃなくなるとしても、それで家族たちの未来が約束されるのなら、私は君たちが手を下す前に喜んで死ねるよ。」
ああ、情けない。少女は知っていた上で、それが実行されるまで同盟ごっこを続けてくれていた。僕は何も知らず、本当に互いのためになると信じて疑わなかった。
何度も頭に響く、僕の性格を表現する一言。お人好し。それが僕のいいところで、誰かを救う武器になりうると。誰かを救うどころか、その人を裏切っているじゃないかと、自分の心が微かに暗くなるのが見えた。
それを知ってか、レイナさんは僕の額を軽く小突き、そのまま黙って船を降りていく。すべてを知っていた人たちは、ただ何事もなくいつも通りに戻った。
その光景が、
■■■■■■■■■■■。
「(だって、互いの損にはならないようにって、約束して)」
「コビー。この声に覚えがあるなら、後で墓地に来るといい。二人きりでお話しようじゃないか。」
「(......嫌だ。心を強く保たないと、今の幻聴にすら)」
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
