王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ32)

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３０話ページ32

非常に、これは非常にまずい。
看病係はくじ引きで決まった五人の中から、選出されたものだ。アンデルセン、モモンガ、バスティーユ、ロジャー、ヘルメッポの五人となったが、この五人のうち一人とはいえ、どいつもこいつも絶対に任せたくない理由が存在する。

「別人の体に自分の魂があるというのはどんな感覚なのかな！？ぜひ小説の執筆材料として、貴重な感覚を......いや、それはどうでもいい。未知を事実として記せば、読者の創造力が低下する。私が言いたいのはね！？彼女の体の神秘を」
「私は無理だろうな......一度レイナの人格に戻った時だろうか、顔が怖いと泣かれたことがある。少し傷ついた。」
「......論外って小声で言った誰か、後で海に沈めてやる。」
「僕も論外なのか！？今はもう船長の命を持ってこうだなんて思ってないよ～！許可もらったら、喜んで一緒に死ぬけどさぁ！？」

そんなこんなで消去法として選ばれたのは、ヘルメッポだった。消去法と言われて気に食わないのか、少し嫌そうな顔をするヘルメッポ。やはり一人では任せられないということで、海兵の中でも信頼されているコビーが手を上げた、という経緯だ。
ヘルメッポを二人の元へ行かせたのも、起きた彼女なら一人でも世話できるだろうと思ったコビーの判断。それが判断ミスだというのも知らずに。
精神的には少し成長していても、記憶の食い違いが発生した場合、誰かの地雷を踏み抜いたりする可能性がある。それが同盟解除に繋がることもありえなくはない。その小さな可能性を危惧したコビーは、早く連れ戻さなければと部屋から飛び出た。

「......なんか森の奥で光ってるー。」
「(よかった、無事で......あれ？僕って今、父親っぽくなってない？)」

ひとまずの無事に安堵したコビーが声をかけると、レイナは彼の腕を引っ張って、森の奥を指差す。

「ねえコビー、森からなんか飛んできている。」
「......！レイナさん、伏せてください！！」

間に合わない。乱暴になりつつも、咄嗟の判断でコビーは彼女の頭を掴み、強引に床に倒す。
なんとか間に合ったのか、森から飛んできた何かは、レイナの肩を掠める程度ですんだようだ。