２話 ページ4
カンヌは現在潜伏中、しかしカンヌの失踪と同時に事件が起きたらしい。ある孤児院が襲撃され、子供たちが全員誘拐されたというものだ。年齢は六歳から二十歳まで、それ以下は全員殺害。赤子も例外なく、職員たちは見るに耐えない姿へ変貌する。馬鹿にも簡単に分かるよう噛み砕くと、彼女は利用できる"駒"だけを連れていったということ。
監視カメラには、大きな黒い鞄を持ったカンヌが映っていた。監視カメラの存在に気付き、以前までの優しい彼女とは思えないほど不気味な笑みを浮かべていた。音声も入ってはいたが、それは奇妙かつ不可解なもの。
『む』
それだけを発し、カンヌは鏖殺を始めた。邪魔なものを全て片付け、逃げようとする子の手足を折る、ノコギリで切り落とすなど、人間とは思えない所業を見せつけたという。彼女が監視カメラ......電伝虫を殺したのは、犯罪を終えた後。
証拠はある。その島がどこにあるのかも。しかし島民から得られた情報は僅かなものであり、つい先程まで楽しく酒を飲んでいた、ショッピングを楽しんでいた、というものばかり。彼女がいつ島を出たのか、そもそもいつ島に訪れたのか、すべて分からなかった。
......海軍の手が届かない場所まで、彼女は消えたのだろう。届くとしても、汚職の疑いがある海兵の管轄内ばかりだ。捜査の手など簡単にかわされてしまう。そこで、彼女の捜索及び確保を海賊と協力しようという話になったということ。
レイナもその場にいる誰もが、やっぱり怪しいと口を揃えて言う。ルフィは相変わらずいいぞ、なんて言うが、彼らにはいい加減旅に戻ってもらいたいものだからどうしようかと悩むレイナ。
『僕を信じてもらえないのも分かる。さっき言ったことも、今から言うことも、馬鹿げています。それでも信じてほしい。僕があなたを頼ろうと思った理由は、そのカンヌ中将がいたからです。』
「なんで。」
『彼女はいつも嬉しそうに、あなたのことを話していました。優秀、完璧、努力家、本物にすらなりうる偽善......僕はまた、その可能性にすがろうとしているに過ぎません。あんな事件があっても、あの人の言葉を信じて......僕は海兵失格でしょう。それでも、彼女の凶行を止めたいんです。』
声が震えるのが分かる。電伝虫もコビーの感情に呼応するように、涙ぐむ。ルフィはコビーは人を騙せるほど器用じゃないし、おれの友達だから無条件で信用できるぞ、なんて言い出す。
「......十分後にかけ直せ。」
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
